記録の更新は、先人に光を当てる。

　そして、背番号51は背番号10に敬意を込め、更に言った。

「チームと一緒にスタートしていたら（記録への気持ちが）違っていたかもしれません。張本さんが来てくれたことで変わったと思います」

　歴史に残る大記録。その金字塔に近づき、追いつき、追い越すことは、先人が残した偉業に再びスポットライトをあて、敬意を払うことになる。

　言い換えれば、偉大なる先人にとって、記録を塗り替え続けてきたイチローは、再び自身に光を灯してくれる最大の恩人にもなる。

　1920年にジョージ・シスラーが記録した257本のシーズン最多安打記録を更新したのは2004年のことだった。2001年のルーキーイヤーには新人王とMVPのダブル受賞。この偉業はメジャーリーグの歴史の中で1975年のフレッド・リン（レッドソックス）以来となった。

　そして、張本さん、ピート・ローズの金字塔も先人たちに光を当てることになった。

喜ばなかったピート・ローズ。

　ジョージ・シスラーのご家族はイチローが記録を塗り替えた際にはシアトルまで足を運び感謝の気持ちを表した。それは張本さんも同じだったが、ピート・ローズだけはちょっと違った。

　イチローの記録が日米通算であることを理由に自分の記録と同列に扱われることを好まなかった。孤高のプライドで自身を鼓舞させてきた面もあろう。それも理解できるが、印象的にはイチローへの敬意が少し欠けていたように感じる。それが冒頭の発言にもつながった。

「これはだから、今回のでいえば、ピート・ローズが喜んでくれてれば全然違うんですよ。それは全然違います。でもそうじゃないっていうふうに聞いているので。だから僕も興味がない」

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