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リベリーこそ、将軍と呼ぶべきである。 

text by

安藤正純

安藤正純Masazumi Ando

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2008/03/12 00:00

リベリーこそ、将軍と呼ぶべきである。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 ゴールにはならなかったものの、このほかにもリベリーのスーパープレーは何度もあった。あの屈強なDFボルドンとベスターマンはリベリーにまったく付いていけず、単なる引き立て役として哀れみを買うだけだった。専門誌『キッカー』はリベリーの採点で1.5(6点満点で1が最高点)を付けた。個人的にはそれでも不満だ。1を上回る点数であってもよかったと思う。

 翌週の23節(カールスルーエ戦)もリベリーが爆発した。30メートルを独走、4人のDFに囲まれた密集地帯をステップワークで抜ける。5人目のDFさえ振り切り、豪快に右足で決めたのだ。キッカーの評価はまたしても1.5。どうして1を出さないのか。責任者出て来い!

 リベリーの凄さは並外れた快速ドリブルとシュート力だけではない。ゴール前のFKとCKまで任されているのは、正確無比のキックが出来る証拠である。いや、それ以上に彼がもはやバイエルンで代役がいないほどの存在になったという意味にもつながる。

 過去、バイエルンでは幾多の偉人が輩出されてきた。ただそれは大体がDFでもMFでもFWでも「中央」でプレーする選手であった。リベリーは左が本職だが、右サイドにも中央にも顔を現し、変幻自在のポジショニングをこなす。

 入団以来、究極のパフォーマンスを発揮し続けるリベリーを見ていると、もう彼は同じ7番で天才と謳われたショルを超えたと言える。バラック、エッフェンベルク、マテウスら偉大な先達と比してリベリーに足りないのは単にメジャーなタイトルと、その数だけである。

 ドイツサッカーはスタジアム・観客数・快適性など舞台装置が世界最高だが、超一流の役者が不足していると指摘される。しかしもうそんな劣等感に苛まされる必要もなくなった。リベリーがいるからだ。

 前回のコラムで、3月の卒業旅行はS04の観戦だと薦めたが、「やっぱりバイエルンも見ておかないと」と訂正させていただく。

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