野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
東京・国分寺「もつ鍋 わたり」の
プロ野球前半戦総括<2012年・夏>。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/08/07 10:30
低迷する横浜DeNA攻撃陣を牽引した中村紀洋(写真左)。もつ鍋屋店主・中野渡氏は「ノリさんらベテランがいなければ今頃2勝ぐらい」と鋭い分析。
交流戦の終わりに、横浜投手陣が開いた決起集会。
――……よくわかりませんが、交流戦の終わりに横浜の投手陣がこの店で決起集会をしたとか。
「ああ。デニーさん(友利結/ベイスターズ投手コーチ)からいきなり電話が来て『“わたりの店でガッツリ食わせてガッツリ球遅くしてきます!”って監督からポケットマネーをせしめたからよ』って貸切りよ。横浜がこんな会をやるなんて俺が引退して以来はじめて聞いたけど、こういうのも結局、統率できる人間がいないと始まらないからな。野球選手がシーズン中の移動日にわざわざ待ち合わせして来てくれるって、有難いことだよ。次の日には金城とツルと下園も来てくれたし」
――会の内容はどうだったんですか?
「18時に国分寺駅集合なのに藤井だけが30分前に一人で店に来てな。『台湾のW杯以来だから挨拶にきました』って。なんだ律儀な奴じゃねぇかと感心してたら、席を見渡してよ、『デニーさんの席はここですか?』と確認したら……『遠すぎると見えないし、近すぎるといじられる。まぁ、ここだな』とか言って結局デニーさんから一番離れた席に座ってんのよ。で、『スイマセン。ブログ用に写真撮ってもいいですか?』って、オマエ、先に挨拶しに来たってウソだろ」
番長の「相変わらず生徒会長みたいで喪主の挨拶みたいなスピーチ」
――デニーさんはやはり投手陣から恐れられているんですね。結局、誰が近くに座ったんですか?
「なんかしらねぇけど、ポニーみたいな顔した外国人がいたな」
――ブランドンですか?
「それ。会の最中『テメェは横須賀だ、横須賀!』とずっといじられてて「ヤダヨヤダヨ。ヨコスカヤダヨ」って言ってたわ。あと山口(俊)も隣でずっとイジられてたけどよ、アイツただのバカだと勘違いしてたけど、素朴でカワイイ奴なんだよな。若い頃は『自分に抑えは無理です』とか言っちゃってたみたいだけどよ、ほっとけないというか、なんとかしてやりたいと思わせる人柄の良さがあるわ。あと遅れてきた高崎(健太郎)もデニー席に呼んだけど、気が付いたら隣のテーブルに背中向けて座ってるからよ、『テメェ、この野郎。結果残して木塚(敦志/ベイスターズ投手コーチ)に笑ってほしいって言ったんだろ? ふざけんじゃねぇ、木塚の笑顔を独占するなんて100年はええよ。テメエの体を俺に寄越せ。そんだけの体がありゃヨユーで最多勝でも沢村賞でも獲ってやるからよ』って言ってやったわ。飲みっぷりで気合入ってたのは藤江(均)だな。あと菊地(和正)ってのもいいツラしてるね。番長は相変わらず生徒会長みたいで喪主の挨拶みたいなスピーチしてたわ」