ゆるやかな坂道の途中に、看板がある。
“フラーゴラッド鹿児島”
バレーボールチームと知らなければ、小さな会社の事業場か事務所にしか見えない。
「びっくりするでしょ。でもね、これでも僕らには立派な城なんですよ」
笑顔で明かすのは、フラーゴラッド鹿児島の代表、小園康夫。クラブを創設し、SVリーグ参戦へ押し上げた、まさに城主だ。
鹿児島県の県庁所在地である鹿児島市ではなく、ホームタウンは人口約4万5000人の日置市。東京、大阪、愛知など大都市を拠点にするチームが多いSVリーグで、異色のチームは、いかにして誕生したのか。

クラブの始まりは2020年7月、50歳になったその年、小園は鹿児島県の教員人生にピリオドを打った。自身もかつては「プロを目指した」という野球部の監督として頴娃高や川内商工高を率いた経験を軸に、退職後は野球の独立リーグを立ち上げようと考えたが、具体的に話を進めると、野球チームを設立するには教員時代の退職金では到底まかなえないことを知る。
いつまでも無職のままではいられないから、と運送会社で働いていたが、コロナ禍で仕事は減り、街の活気もなくなっていく。野球がダメでも、スポーツで鹿児島を元気にできないか――。調べると、実は鹿児島のバレーボール人口が全国2位だと知った。
「初任校の同僚に聞いたら、トップリーグに参入しよう、とチャレンジしたことは何度もあるけれど、うまく行かずに進まなかった、と。せっかく人がいるのにこのままではもったいない。本腰入れて、バレーボールのチームをつくろう、と決めたんです」
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