「今までの5年間とは、全く違う感覚でのぞんでいます」
そう言って万波中正は、すっと背筋を伸ばした。今年のキャンプイン前日、新庄剛志監督から「レギュラーは1人だけ決まっている」と指名を受けた。昨年25本塁打を放ち、ブレークを果たした23歳。指揮官が寄せる期待の分、少し重い責任感と心地良い緊張感が体中に満ちる。
1年前のシーズン開幕。エスコンフィールド北海道の最初の公式戦で、万波は3打席連続の空振り三振に倒れた。続く代打2打席も凡退。ポジション争いから大きく後退する最悪のスタートだった。
迎えた4月6日のロッテ戦。先発の佐々木朗希と対峙した第1打席で腹を括った。2ストライクと追い込まれてから指1本分バットを短く持ち、粘りに粘った9球目をセンター前へ。捉えたのは161kmのストレートだった。
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photograph by KYODO
