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[お家芸12年ぶりの表彰台]森重航「末っ子がエースになった日」

2022/02/27
抜群の運動神経を誇る21歳の潜在能力が北京で開花した。ナショナルチーム入りから瞬く間にメダリストとなった驚きの成長曲線は、4年後の「テッペン」に繋がっている。

 どことなく笑顔が控えめなのは“末っ子”ならではの奥ゆかしさか。メダル候補3選手が束になって挑んだスピードスケート男子500m。日本勢最高成績となったのは、最年少21歳の森重航だった。トップと0秒17差の34秒49で銅メダルを獲得。日本男子としては2010年バンクーバー五輪以来、3大会ぶりのメダル獲得を果たした。

 レース直後にリンク内で行われた表彰式では緊張のあまり表情を崩せなかったというが、心の中は喜びにあふれていた。

「レースが終わった段階ではもう少しタイムがほしかったと思ったけど、こうして3位という結果を取れて良かった。メダルは目標ではあったけど、想像していなかった。決まった瞬間はうれしかったです」

 スターターのタイミングに苦しみながらも、堂々と滑りきった。森重が登場したのは最終組の1つ前の14組。7組で登場した地元中国の高亭宇が34秒32の五輪新記録で首位に立っていた。

「34秒3を狙いすぎてガチガチのレースになってしまうことが一番ダメ。タイムをあまり意識しないで自分のレースに集中した」

 一度目は同走者がフライングを取られたが、スロー映像で見てもどこがフライングなのか分からないほど。森重自身も「1回目のフライングはよくわからなかった」と首をかしげたが、集中力は乱れなかった。再スタートでの100mの通過は30人中5番目の9秒63。

「フライングの緊張感があってスタートは思うようにいかなかったけど、その後は落ち着いていつも通りに滑れた。バックストレートで前の選手を追えて、最後のインコーナーで加速できたのもいつも通りだった」と納得の表情を浮かべた。

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photograph by Asami Enomoto
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