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史上初のGL敗退を喫したドイツ。
再建に必要なのはエジルとの別れか。

posted2018/07/11 10:30

 
史上初のGL敗退を喫したドイツ。再建に必要なのはエジルとの別れか。<Number Web> photograph by Getty Images

ドイツの創造性を担ってきたエジルだが、今大会が代表での最後の姿になる可能性も浮上してきた。

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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 まずは、自分の目が節穴だったと認めなければならない。

 グループFの2戦目(対スウェーデン)後に執筆した当コラムで「新リーダーの誕生」、「ドイツの勢いは増す」と言い切った。しかし、ドイツは最終戦で韓国に0-2の完敗。まさかの最下位でロシアワールドカップ敗退となった。史上初めてベスト16進出を逃す失態である。

 一時代の終焉を意味する敗北を受け、ドイツでは様々な議論が交わされている。

 ヨアヒム・レーブ監督の解任論も浮上した。だが、DFB(ドイツサッカー連盟)はW杯前に2022年夏まで契約を延長した指揮官の続投を支持。7月3日、2006年から続くレーブ体制の継続を正式にアナウンスした。

 辞任の可能性を仄めかしていた本人も「DFBからの信頼に感謝している。(ロシアW杯の結果には)私自身の失望も大きいが、再建に向けて、スタッフとともに分析を進めていく」と語り、未来への新たな決意を口にしている。

 指揮官の脇を固めるスタッフも変わらない。レーブがアシスタントコーチを務めていた時代から苦楽を共にしているGKコーチのアンドレアス・ケプケ、チーフスカウトのウルス・ジーゲンターラー、チームドクターのハンス・ビルヘルム・ミュラー・ボールファールト、心理学者のハンス・ディーター・ヘアマンも留任する。

ボール支配率67%がゴールに結びつかず。

 ただ、この体制のままでは発展は難しいとの声もある。

 例えば、『SPIEGEL』紙のペーター・アーレンス記者は「ジーゲンターラーはメキシコのプレースタイルを誤って判断した」と厳しく指摘。これが「レーブとその仲間たちの限界の兆候かもしれない」と警鐘を鳴らす。

 このタイミングで現体制が幕を閉じていたら、2000年代初期に低迷していたドイツを立て直し、世界制覇にまで導いた英雄たちの最後には相応しくなかった。

 レーブと彼の仲間たちに、もう一度チャンスを与えたくなったDFBの心情は理解できる。ただ、課題は山積みだ。まずはプレースタイルを見直す必要がある。ロシアW杯では1試合平均のボール支配率が67%に達しながら、チャンスをゴールに結び付けられず、カウンターへの耐性の低さも露呈した。

【次ページ】 主力が高齢化、若返りが必須の課題。

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