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柴崎岳が語る10代からW杯選出まで。
「理想的ではないけど最悪でもない」

posted2018/06/04 08:00

 
柴崎岳が語る10代からW杯選出まで。「理想的ではないけど最悪でもない」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

A代表への初選出は2012年2月。代表デビューは2014年8月。果たして、W杯本番ではどんなプレーを見せてくれるのか……。

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph by

Asami Enomoto

「本当にこれが中学2年生なのだろうか」

 柴崎岳を初めて取材したのは、彼が中2の時だった。青森山田中学の選手だったが、青森山田高校サッカー部の遠征に「飛び級」で参加していた彼は、まだ中学2年生とは思えないほど、落ち着き払った少年だった。

 ピッチ上では高校生の仲間と相手に対し、表情を一切変えずにボランチとして正確なパスとキープ力でゲームをコントロール。時には「左に入れ!」と強烈な指示を送ることさえあった。そしてピッチ外でも表情を一切変えずに、「歳上とか歳下とか一切関係ありません。試合に出させてもらっている以上は同じで、やるべきことをやらないといけない」と、切れ味鋭い言葉で淡々と質問に答えていた。

 それは、一般的な中学生の範疇を明らかに越えた佇まいだった。

 当時「年相応」という言葉がまったく当てはまらなかった彼は今、ロシアW杯に臨む日本代表の一員として、あの日と変わらぬ落ち着き払った表情でピッチに立っている。

 5月30日、ロシアW杯壮行試合となったキリンチャレンジカップ。日本代表vs.ガーナ代表。

 雨が降りしきる日産スタジアムのピッチに柴崎が送り込まれたのは、0-2のリードを許した59分のことだった。

ついに……W杯の舞台に立てる権利を得た!

 山口蛍に代わって投入され、大島僚太と同学年ボランチコンビを組むと、直後の61分に強烈なミドルシュートを放つ。

 スムーズに試合へ入った柴崎は、質の高い縦パスで攻撃のリズムを作った。結果にこそ結びつかなかったが、柴崎投入後は明らかに攻撃の起点が明確になった。後半アディショナルタイムにはカウンターから中央を空けるために右サイドにフリーランニング。オン・ザ・ボール、オフ・ザ・ボール共に質の高いものを見せていた。

 そして、翌31日の最終メンバー発表で西野朗監督の口から「柴崎岳」の名は発せられた。

 ついに、彼は待ち望んだ舞台に立つ権利を手にしたのだ。

【次ページ】 「W杯は絶対に目指さないといけない場所」

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