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「やっとサッカー分かってきたな」
鄭大世に響いた憲剛からのメール。

posted2017/03/31 10:30

 
「やっとサッカー分かってきたな」鄭大世に響いた憲剛からのメール。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

丸くなった感がある鄭大世だが、視界にゴールマウスをとらえた瞬間、ゴールへの本能をむき出しにするのは今も変わらない。

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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「サッカー王国」が燃える日――。

 4月1日、J1で4シーズンぶりに「静岡ダービー」が実現する。エコパスタジアムで開演する大舞台を控え、清水エスパルスの鄭大世(チョン・テセ)は静かに闘志を燃やしている。

 今季から主将を務め、名実ともにリーダーとなった。移籍3年目で自身初のダービー。意地とプライドを懸けた特別な戦いであることを理解しながらも、落ち着いた口調で決戦への思いを口にした。

「この試合でファン・サポーターの期待に応えるプレーを見せれば、クラブにとって重要な選手になると思う。できることなら、点を取りたいし、ヒーローにもなりたい。でも、今の俺の優先順位は自分のゴールよりもチームの勝利」

 苦難を乗り越えてきた33歳の言葉には実感がこもる。2006年から2010年まで在籍した川崎フロンターレ時代は誰よりも我が強く、ギラギラしていた。本人もそれを自覚しており、過去の話になるとふっと笑みをこぼす。拍子抜けする記者の心を見透かしていた。

昔なら主役は俊輔さんではなく俺、と言ったけど。

「昔ならダービーの主役になるのはジュビロ磐田の(中村)俊輔さんではなく、『この俺だ』と言っていたかもしれない。今は何より組織でまとまることが大事だと思っている。組織に勝る個はない。こっち(清水)は、チーム力で勝つ」

 昔と変わったのは発言だけではない。最前線から中盤まで戻り、相手のボールに襲いかかる。4節の鹿島戦は逆転負けを喫したが、土居聖真に鋭いスライディングで食いつき、小笠原満男を力強いタックルで吹っ飛ばしていた。

 開幕から4試合で勝ち点6。J1復帰1年目にしては、まずまずの滑り出し。昨季、J2で26ゴールをマークした点取り屋は、献身的な守備で貢献していることを自負する。

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