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動きすぎず、しかし得点機は大胆に。
柴崎岳が小笠原満男から学んだこと。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/09/15 10:50

動きすぎず、しかし得点機は大胆に。柴崎岳が小笠原満男から学んだこと。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

運動量を誇示するわけではなく、しかし大事なところにいる柴崎岳。「遠藤の後継者」という肩書きが取れたときが、彼が本当に代表の主力になった時なのかもしれない。

 本田圭佑と武藤嘉紀がDFをひきつけ、生まれたスペースへ左サイドから岡崎慎司がクロスをあげる。そこへ飛び込み、右足からのダイレクトシュートから勝ち越し弾を決めた。代表デビュー戦での初ゴール。チャンスを見逃さなかった柴崎岳の嗅覚に、ある試合でのゴールを思い出した。

 2011年10月9日。名古屋市瑞穂競技場。ナビスコカップ準決勝、名古屋グランパス対鹿島アントラーズ戦。その年、大型ルーキーとして鹿島入りしていた柴崎だったが、シーズン前半は途中出場が多く、プロの舞台で目覚ましい結果が残せてはいなかった。負傷による2カ月間の戦線離脱を経て、名古屋戦では10月5日の準々決勝に続いての先発出場となった。

 鹿島が先制したものの同点弾をゆるし、試合は延長戦へと突入。その後半2分、決勝ゴールを決めたのが柴崎だった。

「運動量」以外の点で評価される若いボランチは珍しい。

 この試合の柴崎について印象的だったのは「動きすぎない」プレーだった。前線へ攻め上がったのは、得点を決めた場面を含めてわずか数回。むやみに動かないことで相手にスペースを与えず、ここぞというチャンスのみ、ポジションを空けてでも前へ出る。その結果が決勝弾を生んでいた。

 若いボランチの場合「運動量」という観点で評価されることが多い。しかし「動きすぎる」あまりに、相手につけいる隙を与えてしまうこともある。若手時代に「動きすぎるな」と指導されたことを明かすボランチも多い。

 戦術やスタイルも関係することなので一概には言えないが、ボランチは動くことだけが美徳なポジションではない。中盤後方で周囲の選手たちと呼応しながら、穴を作らない柴崎の冷静なプレーがチームに安定感を生んでいるように感じられたのだ。

【次ページ】 動きの量は少なくとも、得点の匂いには敏感。

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