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福西崇史が見抜いた意外な成果。
選手目線で分析したNZ戦の後半。
 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/03/07 10:40

福西崇史が見抜いた意外な成果。選手目線で分析したNZ戦の後半。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合後「相手に2点取られたということもあるので課題は大きい」と語った長友佑都。

 ブラジル代表のルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、5日の南アフリカ戦に向けたメンバー発表記者会見でこう言った。

「このチームの90~95パーセントは(本大会の)最終メンバーに入るだろう」

 おそらくアルベルト・ザッケローニの心境も全く同じである。というより、W杯を3カ月後に控えたどの出場国にも共通する指揮官の心境と言っていい。スコラーリが敢えて当確ラインを公言したのは、ブラジル代表を率いる監督としての戦略にすぎない。チーム内の競争心を煽るより、主力選手に安心感を与えるという戦略を採ったのである。

 もし日本代表の最終登録メンバー23人のうち90~95パーセントが決定しているということを前提とするならば、ニュージーランド戦の最大の目的は勝利ではない。第一義として考えられるのは、この4年間で積み上げてきたことを3日間の合宿と実戦で最終確認すること。しかしこの段階での「負け」はマイナス影響を及ぼしかねないから、相手は“想定外”さえ起こらなければ確実に勝てる格下のニュージーランドに設定した。そう推測できる。

「もちろん意味のあるゲームだった」

 元日本代表MFで解説者の福西崇史は言う。

「いろいろと確認することはできたと思う。確認というのは、監督が選手個々を査定するようなチェックではなくて、前回の合宿から2カ月間くらいのブランクがあった中でチームとしてのコンセプトや戦術、連係、そういう部分をもう一度実戦ですり合わせるということ。そういう意味では、もちろん意味のあるゲームだった」

 言い換えれば、現時点で日本代表は限りなく“W杯仕様”の完成形に近い状態でなければならない。したがってこの試合に関しては“できるかできないか”よりも、意識として戦術や動き方の詳細、特にスタメンを張る中心選手に関しては全体としてのイメージを頭の中でもう一度共有することがテーマとなる。「何点差で勝つか」はそれほど大事ではなく、実戦でしか分からないことを一つひとつ確認できればそれでいい。

【次ページ】 指揮官が「良い相手だった」と言った意味とは?

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