ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER
「足が速い」プラス「判断も早い」。
浅野拓磨、ドイツで万能型に変貌!
posted2017/02/08 11:00
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph by
AFLO
フランクフルトの長谷部誠がリベロという新境地を開けば、ハンブルガーSVの酒井高徳は主にボランチとしてシーズン前半戦を戦い抜いた。一方で、攻撃のユーティリティープレーヤーとして異彩を放っているのが、ブンデスリーガ2部のシュツットガルトでレギュラーの座をがっちりと掴んでいる浅野拓磨だ。
昨夏のシュツットガルト加入直後、浅野は左右を問わずウインガーとして起用される機会が多かった。しかしウインターブレイク明けの初戦から4-1-4-1システムの左インサイドハーフとして先発し続けている。
試合展開や時間帯によってプレーエリアをタッチライン側に移しているが、主戦場はあくまで2列目のセンター。この新ポジションでポジティブな印象を残している。
縦パスの受け手として、攻撃をテンポアップ。
役割としては広島時代に経験のあるシャドーに近いのかもしれない。相手2ライン(DFとMF)間でタメを作ってからスルーパスやサイドにボールを供給するよりも、ワンツーや裏への飛び出しを駆使してペナルティーエリア内に侵入するケースが多い。周囲と連動しながら守備組織のギャップを突き、チーム、そして自らの得点チャンスを高い頻度で作り出している。
シュツットガルトの地元紙『シュツットガルター・ナハリヒテン』が「30メートル走で3.67秒を記録した」(ストップウォッチによる手動計測)と報じるなど、ドイツでも浅野の持ち味であるスプリント能力がクローズアップされがちだが、ここ最近は判断スピードも目を見張るものがある。
例えば、前線で縦パスの受け手になったときだ。相手守備者に素早く寄せられても慌てず、正確なファーストタッチでマーカーの脚が届かない場所にボールを置くと、すぐさま横あるいは前方向へボールを展開。チームの縦方向に進むスピードを落とすどころか、スムーズな繋ぎで攻撃をテンポアップさせている。