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長谷部、香川、内田らに愛される男。
清武弘嗣、優しさから熱さへの転換。

posted2016/11/25 07:00

 
サウジ戦でPKを得た瞬間、清武はいち早くボールを手にした。長友らチームメートも万全の信頼を寄せてキッカーを託した。

サウジ戦でPKを得た瞬間、清武はいち早くボールを手にした。長友らチームメートも万全の信頼を寄せてキッカーを託した。

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

 温厚な清武弘嗣が、声を荒げた。11月16日。日本代表での活動を終え、スペインのセビージャへ戻るために訪れた、羽田空港でのことだ。

「9月や10月には内紛があったというわけでは決してないけど、みんなが同じ方向を向いていたかというと、どうか。昨日の……」とこちらが質問を投げると、それが終わらないうちに熱を込めつつも、注意深く、言葉を紡いでいった。

「いや、ホントに、本当に正直に言いますけど、それをさせているのはメディアの方々なので。チームは一丸となってやっているし。本当にサポーターの方々『も』ワールドカップに行って欲しいと思っていますし。言ったら、メディアのみなさんもワールドカップに行って欲しいとは思っているなかで……。

 もちろん『競争』と書くのはいいですし、『この選手とこの選手が争っている』と書くのも別にいいことなんですけど。僕たちはそんなことはあまり意識していなくて。別に、そういう競争はもちろん、監督も言っていることだし、良いことだと思うんですけど、そうさせているのは、正直、メディアのみなさんだと僕は思っているので。

 だから、それを、うーん……。みんなが同じ方向というか、チームが同じ方向を向いているのに、それを乱しているのは、そういう記事だと思うし。嫌でも、それは目に入ってくるので」

メディアのみなさんも同じ方向を向いていかないと。

 こちらが記者としては失格とも言える、本題とは真逆の枕詞をつけた質問をしたのだから、答える側とすれば気分を害するのも当然だ。この質問に至るまでのひとつひとつの答えが熱を帯びていたからこそ、記者の勝手な思い入れを元に、ドラマチックに話を誘導してしまった面がある。

 もっとも、問題を指摘しただけで終わらないのが、多くの選手から「キヨタケと一緒にプレーしたい」と言われる彼らしいところだった。清武は団結を呼びかけた。

「だから、本当に日本全体が一緒の方向を向いてやっていかないと。それはサポーターだったり、選手だったり、スタッフだったり、メディアのみなさんだったり……。そういう方々が『全員で』同じ方向を向いていかないと」

【次ページ】 熱く訴えかけたのは、断固たる決意があるからこそ。

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