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長谷部、香川、内田らに愛される男。
清武弘嗣、優しさから熱さへの転換。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/11/25 07:00

長谷部、香川、内田らに愛される男。清武弘嗣、優しさから熱さへの転換。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

サウジ戦でPKを得た瞬間、清武はいち早くボールを手にした。長友らチームメートも万全の信頼を寄せてキッカーを託した。

「自分の意識もちょっとずつ変わってきている」

 試合前には、フォワードの大迫勇也と「今日は俺らが頑張らないとダメだね」と話していた。そこにも彼なりの想いがあった。

「前線の(攻撃的なポジションで)スタメンで出た選手のなかで僕が一番歳上で。(久保)裕也だったり、サコ(大迫)だったりは、今回の代表に来て良いパフォーマンスをしていて。監督もたぶん、本当に賭けだったと思うし。そのなかで、やっぱり、結果も欲しかったです」

 トップ下の清武が27歳で、センターフォワードの大迫が26歳、左FWの原口元気が25歳、そして、右FWとして初めて代表戦に先発した久保裕也が22歳だった。

 思えば、今年6月のブルガリア戦の後にも「今まではアピールしなきゃ、ということがけっこう頭にあった。だけど、今はそんなことはあまりないですね。もちろん、選手としてアピールは必要です。でも、今日は代表の試合のなかで(周りに指示をするために)一番しゃべった試合だったと僕は思うし。自分の意識もちょっとずつ変わってきている」と清武は語っていた。

 背中で引っ張るのではなく、言葉でも引っ張るのが彼のスタイルだ。

香川も“共存”した時には楽しそうに清武を語る。

 清武はサウジアラビア戦について、こうも付け加えている。

「『全員で』戦うということは変わらずに、本当に、(スタメンが大きく変わったメンバー構成は)新しいオプションとして考えてくれればいいなという風には思います」

 そもそも清武は、同世代の選手のなかでも、日本代表における出世頭であり、リーダー的な存在だ。

 その一方で、先輩たちから抜群にかわいがられてきた選手でもある。内田篤人や香川真司もことあるごとに彼の名を挙げてきたし、コミュニケーションの達人であるキャプテンの長谷部誠でさえ、「清武は口が上手いから」とユーモアを交えた表現をしたこともある。

 清武と一緒にプレーしたいと公言する選手は多い。ハリルホジッチ監督がライバルだと表している香川も、実はその1人。清武と一緒にプレーする感覚を話すとき、彼の表情はまるで桜が咲いたかのように明るくなる。

【次ページ】 「キヨくんは絶対ボールを収めてくれる」(酒井宏)

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