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エディー時代との違いは「キック」。
ラグビー、ウェールズ戦の指針。
posted2016/11/19 11:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Jun Ikushima
ウェールズの中心、カーディフから2両編成の列車に乗って30分ほど。トレフォレストという駅で降りてから道を北へ進むと、「ワールド・オブ・グロッグス」というお店がある。
1965年にオープンし、ラグビーのフィギュアを作り続けてきた小さなショップだが、インターネット時代を迎えて世界中から注文が舞い込んでいる。
クリスマスを前に、いま売れ筋の商品なのが――五郎丸歩がプレースキックを蹴る前のフィギュアだ。店主のリチャードさんが話す。
「いまは3週間ほど待っていただいている状態です。実は、この作品はとても作るのが難しいんです。指を合わせているところは複雑だし、ジャージの桜のエンブレムも細かいし(笑)。でも、五郎丸は創作意欲を刺激してくれます。とても、スタイリッシュだ」
「マフィは力強いし、ウィングはみんな決定力がある」
そしてリチャードさんは、週末の日本対ウェールズ戦について言及した。
「昨年のワールドカップ、日本はとても印象的な試合をした。ナンバー8のアマナキ・レレイ・マフィは力強いし、ウィングはみんな決定力がある。ウェールズも充実しているけれど、いい試合になることを期待していますよ」
新ヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフを迎えてのテストマッチ第3戦。これまでアルゼンチンには20-54と力の差を見せつけられ、欧州に遠征しての初戦はジョージアにFW戦で苦しみながらも、28-22で勝利を収めた。ジョージアFWとのトータル体重差は100kg以上あり、ひとりあたり12kg強。常識的には勝負にならない体重差だったが、よくぞ粘った。
そして今回の遠征で最強の相手がウェールズだ。現在、世界ランキングは6位。大きいFWを有しているが、決して肉弾戦にはこだわらない。経験豊富なBKをそろえ(五郎丸が所属するトゥーロンのFB、リー・ハーフペニーもいる)、日本代表戦では10代の若手の起用も考えられる。