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“活字野球”で味わう日本Sとドラフト。
プチ鹿島10月のスポーツ新聞時評。

posted2016/11/01 11:30

 
“活字野球”で味わう日本Sとドラフト。プチ鹿島10月のスポーツ新聞時評。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

死球を受けて激昂する日本ハムの岡と、彼をなだめようと必死の広島・石原。

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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Hideki Sugiyama

 盛り上がった日本シリーズ。

 スポーツ新聞で「活字野球」を味わうのも魅力のひとつだ。

 それでいくと第5戦。日ハム・西川遥輝のサヨナラ満塁ホームランで決着がついたが、その直前に死球をめぐってザワっとした雰囲気になった。あの場面はどう考えたらよいのか。こんなコラムがあった。

「【大下剛史の熱血球論】岡への死球直後の広島ナインの行動」(東スポ・10月28日)

《同点の9回二死一、三塁で中崎が岡に死球。ここで岡がマウンドの中崎に向かって行きかかった。ぶつけられた選手がエキサイトするのは分かる。捕手の石原が「すまん、すまん」となだめ、岡も気を取り直して一塁へ歩きだした。ところがこの後、日本ハム、広島の両ベンチから選手が出てきてにらみ合いとなった。あの場面、両軍が出てくるようなプレーではない。それでも日本ハムが怒るのはまだ分かる。ぶつけた方が悪いのだから。しかし、広島が色めき立ってベンチを飛び出るのはおかしい。》

  事を荒立てないよう動いた広島の捕手・石原慶幸はファインプレーだったが「それをベンチにいた広島の選手が台無しにした」と大下氏は書く。

《中崎は今年、リリーフを任されているが、まだまだ経験は多くない。ただでさえ厳しい場面なのに、あの騒動のせいで中崎は明らかに動揺していた。》

 カープの鬼軍曹としても活躍した大下剛史氏(要はケンカも得意)が、広島ナインに「あそこでケンカしたらいかん」と叱咤した一文だった。

野村克也「これが現代野球というものか」。

 決着がついた第6戦。日ハムは大谷翔平を温存した。

 これに驚いたのはノムさんこと野村克也。自分には到底まねできない栗山監督の采配だったとし、
《第7戦までもつれ込んで、大谷が胴上げ投手にでもなれば劇的で、今季のプロ野球を象徴するシーンにもなる。栗山監督の「ファン重視」の思いだったのかもしれない。これが現代野球というものか。》とボヤいてみせた(サンスポ・10月30日)。

 もちろん「大谷第7戦先発」は栗山監督の勝つための戦略のはずだが、「劇的大好き」なスポーツ新聞にはピッタリの監督とも言えるかも。

【次ページ】 「活字野球」に不向きな大谷翔平という存在。

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