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鈴木啓太が語りつくした引退と浦和。
「だけど、寂しさがあるとすれば……」

posted2016/02/03 10:50

 
現役引退会見から1週間あまり。鈴木啓太は実に晴れ晴れとした表情をしていた。

現役引退会見から1週間あまり。鈴木啓太は実に晴れ晴れとした表情をしていた。

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

「浦和の男で始まり、浦和の男で終わります」

 2015年11月22日リーグ最終戦。すでに浦和レッズを去ることが決まっていた鈴木啓太は、自身の退団セレモニーで、現役を引退することを発表した。事前に漏れることなく「自分の言葉でサポーターへ伝えたい」という鈴木の決意表明は突然だった。

 その後チームはチャンピオンシップ、天皇杯を戦い、鈴木の現役生活は2016年の元日まで伸びることに。そして年が明けた2016年1月10日、改めて引退会見が開かれ、その壇上に座った彼はにこやかな表情で、16年間に及んだ現役時代にピリオドを打った。

――今日は1月19日なんですが、現在の心境はどのようなものですか?

「『これからやることがたくさんあるな』という感じですね。カレンダーを見たときに、真っ白なんですよ。『24時間すべて自分のペースで過ごせる!』というのが、嬉しいですね。サッカーを始めて以降、そんな風な日常があまりなかったから。

 だからつい、どんどんスケジュールを埋めてしまいますね。いろいろな人に会いたいし、いろんなことをやってみたい。たとえばサッカーと違う世界で生きている人たちと会うと、僕には足りないことがたくさんあるなと感じるんです。プロサッカー選手として16年間で学んだことはたくさんあるけれど、社会から取り残されている部分もそれ以上にあると思うので。

 その穴埋め作業をしていくことが必要だし、それが恥ずかしいとは思わない。だって、知らないんだから。毎日毎日が勉強だし、地道にひとつひとつやっていかないと積み重ねられないから。そういうのは、サッカーをやっていたときのスタイルと同じ。へたくそだけど、とにかくやる。とにかくやってみるしかないから」

――イビチャ・オシムさんも鈴木さんの引退に寄せたメッセージでその「勇気」を讃えていましたね。

「オシムさんからメッセージを頂けるとは思っていなかったので、本当に嬉しかったです」

【次ページ】 周囲の「無理だろ」をひっくり返し続けた16年。

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