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シャラポワ、なぜセリーナに勝てない?
“天敵”にまたも惨敗で通算2勝18敗。
posted2015/07/10 11:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
マリア・シャラポワがウィンブルドンを華麗に制覇したのは、2004年のこと、まだ17歳だった。
まさに、スターが誕生した瞬間だった。
きっと、これから何度も優勝を重ねるのだろう――そう思っていたのだが、2度目の優勝はなかなか訪れない。
セリーナ・ウィリアムズという「天敵」がいるからだ。
2015年のウィンブルドン、セリーナとシャラポワは準決勝で対戦し、セリーナが6-2、6-4のストレート勝ちを収めた。
セリーナは13本のサービスエース(シャラポワは2本)、29本のウィナーを決めての圧勝。対するシャラポワは6本のダブルフォールト、セリーナのサービスゲームでは一度もブレイクポイントを握ることのない完敗だった。
これで両者の対戦成績は、セリーナの18勝2敗となった。
シャラポワが勝ったのは2004年のウィンブルドンと、その年のツアー・チャンピンシップの2回だけ。すでに10年以上もセリーナに勝っていない。それどころか、セットを奪ったのも2005年の全豪、2008年のチャールストン、2013年のマイアミだけ。
試合はおろか、セットを取ることもままならない状況が10年以上も続いている。
セリーナの姉、ビーナスとシャラポワの共通点。
なぜ、ここまでシャラポワはセリーナを苦手としているのだろうか。
ひとつには、シャラポワがセリーナの姉、ビーナス・ウィリアムズと似たタイプの選手だから、という指摘がある。
ビーナスとシャラポワはともに185センチを越える長身で、威力のあるサーブ、ストロークを得意とする。体格的なアドバンテージを押し出すのだが、セリーナは姉との練習の中で、長身選手に対するリズム、攻略法を身につけている。その発想は、ひと言で表せば――。
「目には目を」
シャラポワの得意とするサーブ、力強いストロークで圧倒する。つまり、長所とする部分で圧倒し、自信を喪失させる。
今回の試合でも、シャラポワはリスクの高いサーブを打ち、それがダブルフォールトにつながるシーンが見受けられた。セカンド・サービスでのポイントはわずか29パーセントしかなく、プレッシャーがかかっていたことがうかがえる。
相も変わらず、攻略の糸口が見つけられない――。それがシャラポワのセリーナに対する印象ではないか。