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広島・大瀬良の初白星に隠された、
優勝した24年前との奇妙な一致。
posted2015/05/28 11:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Nanae Suzuki
そのとき、編集部は重苦しい空気に包まれていた――。
7年ぶりに日本へ帰ってきた黒田博樹と広島カープの特集を組むことが決まり、シーズン前から広島入りして取材を進めていた。「Number」創刊35年にして、初めての広島カープ特集。それは企画会議での編集長の一言から始まった。
「なんじゃいうても、今年は黒田とカープで決まりじゃけん!」
ところが、幕をあげるや、当のカープは3月31日のDeNA戦から4月7日の巨人戦で7連敗。威勢のいい啖呵も虚しく響く。早くも2勝8敗だ。開幕戦ではエース前田健太が勝てず、その時点で勝ち星をあげていたのはジョンソンと黒田だけだった。
7連敗が確定した瞬間、編集長はテレビの前から早々に立ち去った。
7連敗は大瀬良大地で始まり、大瀬良で終わった。
振り返れば、この7連敗は大瀬良大地で始まり、大瀬良で終わった。初先発のDeNA戦は守備の綻びをきっかけに初回から4失点し、打線が追い上げたものの6-7。2回目の先発となる巨人戦でも1-2と、1点差の敗戦。延長11回、守備の乱れからの失点だった。負けこそつかなかったが、大瀬良はなかなか初勝利に恵まれない。
先発3回目となる4月21日の巨人戦、続く4月28日のDeNA戦でも大瀬良は負けた。これでカープはGWを前にして、8勝15敗の借金7。最下位街道からは、夜明けの気配さえ見えなかった。
黒田が投げれば何かが変わる。そう信じてマウンドを見つめていた5月1日のヤクルト戦。「登板するのは、いつもしんどい」とインタビューでも語っていた黒田だが、その日の表情は明らかに普段よりも辛そうだった。制球が定まらず3回までに5失点。ついに背番号15に黒星がついた。