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<アスリートの体幹論> 理論と実践から読み解く、驚愕の“バレリーナの体幹”。 ~
ダンサー・川口ゆい~ 

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NumberDo編集部

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/02/10 11:30

<アスリートの体幹論> 理論と実践から読み解く、驚愕の“バレリーナの体幹”。 ~ダンサー・川口ゆい~<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

“つま先一点立ち”が体幹の強さを象徴する理由。

「推測ではありますが、バレエの動きを見る限り、“つま先一点で立つ”という動作は非常に特徴的だと思います。つま先だけで長時間姿勢を保持して、多彩な動きを行うわけです。専門的な言い方をすれば、『支持基底面』が異様に狭いということを意味します。支持基底面とは、自分の重心を支える際に底面をつくっている部分の面積のこと。例えば、普通に足を開いて立っている時は、両足のつま先と踵を結んだ台形が支持基底面になっていて、その中に重心を置いていれば倒れることはないわけです。

 一方でバレエでは、その支持基底面がつま先一点になる(笑)。その一点で重心を保ちながら、非常にダイナミックな大きな動きをするわけですよ。つま先でバランスをとりながら片足をあげて、そのまま平気で立ち続け、いろんな動きをしなければならない。これは考えただけでも大変なことなんです。そういう動作を日常的に訓練しているので、体幹を支持する能力や、微妙に体幹をコントロールして姿勢を変えていく能力といったものが発達したのでは」

 見目麗しい所作の中で、足下の一点のみに重心を預け、類を見ない体幹の強さを発揮しているバレリーナ。繊細な芸術とアスリート的なパワー、一見相反するこの二要素を両立させていることこそが、石井さんを驚かせた理由なのだ。

「体幹の使い方、バランスの取り方など、バレエには他ジャンルに応用可能な面があるはず。例えば新体操では、バレエの筋肉の使い方というのが基本の一つになっていると思います。そういった普遍性がバレエの伝統の中に引き継がれているのではないでしょうか」

「体の軸をニュートラルに戻すことができる」

「バレエのトレーニングを行うと、その日初めてバーを掴んだ瞬間、昨日の自分の体との違いが分かるんです。体の軸って微妙に毎日変わるんですが、バレエの体幹の感覚を持っていると、ニュートラルな状態への戻し方、その戻す方向が掴めるです」

 ドイツを拠点にしながら世界的な活躍を見せるダンサー・川口さんは、踊り手の立場から“バレエの体幹”を語ってくれた。幼少期にバレエを習得し、その後さまざまなダンスを吸収してきた彼女は、3年ほど前からバレエへ回帰しつつあるという。

様々なダンスに触れてきた川口さんだが、バレエの身体感覚について、
“海に置いたサーフボード”と例えた。その具体的なイメージとは何か?
繊細に見えて強靭なバレリーナ。石井先生は一般人だけでなく高齢者にも
効果てきめんのトレーニング方法を学んだという――
つづきは、雑誌Number Do号、もしくはNumberモバイルでお読みください。

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川口ゆい

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