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ドイツ対フランスは「蛇とマングース」?
個性が逆転した“天敵”同士の激突。
 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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posted2014/07/04 11:15

ドイツ対フランスは「蛇とマングース」?個性が逆転した“天敵”同士の激突。<Number Web> photograph by Getty Images

ディディエ・デシャン率いるフランスはここまで4試合で10得点2失点と、最も危なげなく勝ち進んできた。屈指のタレントを揃えながら「チーム」にならなかった集団をまとめ上げた手腕はさすがだ。

 ベスト8へ通じるドアを押し開いたのは、やはり海千山千の強国だった。8試合中、実に5試合が延長にもつれ込む激戦の連続だったが、勝者には順当な顔ぶれがズラリ。いずれもグループステージをトップで勝ち上がった国々だ。伏兵と呼べるのは北中米カリブ海のコスタリカくらいだろう。

 南米勢ではホスト国のブラジル、アルゼンチン、コロンビアの3カ国が残り、欧州勢ではドイツ、フランス、オランダ、ベルギーの4カ国が生き延びた。初めて8強入りしたコロンビアとコスタリカにとって、ここから先は未知の領域になる。歴史に従えば、優勝経験のある超大国がアドバンテージを握ることになるだろう。

 例外は双方が優勝経験を持ち、準々決勝で潰し合うフランスとドイツか。

かつてドイツはフランスの天敵だった。

 フランス対ドイツと言えば、かつては「ヘビとマングース」の一戦だった。フランスがヘビ、ドイツがマングースだ。フランスにとってドイツは天敵というわけである。将軍ミシェル・プラティニを擁したフランスは、1982年スペイン大会と1986年メキシコ大会の二度にわたって、世界王者になり損ねた。その原因はドイツにある。いずれも、準決勝で西ドイツ(当時)の前に屈した。

 スペイン大会ではPK戦の末に惜敗し、メキシコ大会では0-2の完敗だ。スペイン大会では延長で2点をリードしながら、土壇場で追いつかれる体たらく。ピンボールのようなパスワークで観る者を魅了する『シャンパン・フットボール』は、こうして幕を閉じた。

 フランスはこれを境にスタイルの転換を図り、プラティニ時代のポゼッションプレーからフィジカルの優位を生かしたダイレクトプレーへ舵を切る。そして、悲願の世界制覇はメキシコ大会の悪夢から12年後のことだった。

 そして、初優勝を飾ったフランスのリーダーがディディエ・デシャンなのだ。現役引退後、フランスを率いたプラティニ監督の時代に代表デビューを飾っている。このバスク生まれの小さなボランチはドイツ人を思わせる不屈の戦士、言わば闘将だった。天敵ドイツに脈打つ勝者のメンタリティーをフランスにもたらした存在と言っていい。脱シャンパンのアイコンそのものだろう。

【次ページ】 よく走り、よく働き、よく戦う集団と化したフランス。

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