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ドイツ対フランスは「蛇とマングース」?
個性が逆転した“天敵”同士の激突。
 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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posted2014/07/04 11:15

ドイツ対フランスは「蛇とマングース」?個性が逆転した“天敵”同士の激突。<Number Web> photograph by Getty Images

ディディエ・デシャン率いるフランスはここまで4試合で10得点2失点と、最も危なげなく勝ち進んできた。屈指のタレントを揃えながら「チーム」にならなかった集団をまとめ上げた手腕はさすがだ。

歴史をめぐる「ヘビとマングース」の一騎打ち。

 むしろ、悩みの種は両サイドバックだ。バイエルンとの決定的な違いも、ここにある。左のベネディクト・ヘベデス、右のジェローム・ボアテンクはセンターバックが本職。攻撃面での効果的な働きは期待しにくい。アルジェリア戦ではシュコドゥラン・ムスタフィを先発させたが、負傷により大会期間中の復帰は絶望となった。ドイツ伝統のサイドアタックが迫力を欠いている一因か。それと引き換えに守備の安定を手に入れる思惑だろうが、実際には机上論の域を出ない印象だ。ドイツ国内でも賛否渦巻く「4センターバック」は、フランス戦の行方を左右するポイントの一つと見ていい。

 圧倒的なポゼッションで敵を圧倒するバイエルンの戦法を転用するレーブの企みは、乱暴に言えばドイツの「スペイン化」だろう。対フランスの文脈で語るなら、ドイツの「シャンパン化」だ。逆にデシャンの鍛えたフランスの方がかつてのドイツに近い。この奇妙な逆転現象がメキシコ大会以来、実に28年ぶりに相争う両国にどんな結末を用意しているのか興味深い。

 フランスが復讐を果たし、ドイツの新たな天敵となるのか。それともポゼッションチームの最後の砦と言うべきドイツがカモのフランスを返り討ちにするのか。今大会の両国の戦いぶりをみる限り、実力的には互角だろう。ただ、時の運、時の勢いはフランスに味方しそうな気もするが……。歴史をめぐる「ヘビとマングース」の一騎打ち、見逃すわけにはいかない。

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