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クレー前哨戦を制し、錦織が全仏へ好感触。
~驚きではないバルセロナOP優勝~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byMutsu Kawamori

posted2014/05/15 10:00

クレー前哨戦を制し、錦織が全仏へ好感触。~驚きではないバルセロナOP優勝~<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

コーチとともに「サーブとフォアの技術を鍛え直した」という錦織。

「クレーコートの大会で優勝できるなんて、びっくりです」

 男子ツアーを主催するATPのウェブサイトで、錦織圭が5度目のツアー優勝となった4月下旬のバルセロナオープンを振り返っている。

「(クレーが得意な)スペインやヨーロッパの選手がそろう大会で優勝するのは簡単ではないですから」

 過去4度の優勝はいずれもハードコートで、クレーは初制覇。国内では〈苦手のクレーを克服〉とする報道も多かったが、その堂々たる戦いぶりに苦手という言葉はなじまない。錦織は自分の庭のように赤土を駆け、力強いショットを打ち込んで、クレーコートへの適性を証明した。

 5月最終週には四大大会の全仏が開幕する。同じクレーコートの前哨戦を制した錦織には、日本だけでなく世界の注目が集まるだろう。

錦織はタフなクレーコートとの相性は悪くない。

 ニシコリという名前が初めて世界に知れ渡ったのも欧州のクレーの大会だった。14歳以下のサーキットで錦織は常に優勝を争った。四大大会ジュニアで唯一、世界の頂点に立ったのも赤土の大会、2006年全仏ジュニアのダブルスだった。クレーに関して、錦織はこう話している。

「ジュニアの頃はクレーが得意でした。今はハードコートよりタフだと感じ、少し苦しんできましたが、ここ数年はいいプレーができるようになり、不安はなくなりました」

 ジュニア時代は展開力で圧倒したが、ツアーで戦う相手は格段に粘り強く、球脚の遅いクレーではなかなか決定打が打てない。必然的にラリーが長くなり、体力を消耗する。「タフ」とはそんな意味だろう。

 だが、相性は悪くない。相手の姿を視野の隅に入れ、その動きの逆をついて放つウイニングショット。スピンの効いた重いボールで相手を後方に押し下げ、鮮やかに決めるドロップショット。赤土の上で王様のようにふるまう錦織の姿が鮮明にイメージできる。実際、全仏で初戦敗退は一度もなく、昨年は4回戦に進出した。

【次ページ】 普段のテニスを「少しマイナーチェンジ」するだけ。

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