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26歳、中村藍子の
再スタートにエールを。
~もう一度、テニス界期待の星に!~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2010/11/22 06:00

26歳、中村藍子の再スタートにエールを。~もう一度、テニス界期待の星に!~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

HPオープン2回戦で、中村(右)はクルム伊達に敗れたが、笑顔で健闘をたたえ合った

 左ひざのケガで長くツアーを離れていた中村藍子が、完全復活に向けて力強く歩み出した。10月の楽天ジャパンオープンで、シングルスでは約14カ月ぶりの公式戦出場。ここでは1回戦で敗れたが、翌週のHPオープンでは昨年6月のウィンブルドン予選以来の勝利を挙げた。2年ぶりに出場した全日本選手権では2回戦で第1シードの土居美咲に敗れたが、試合を重ねるごとにひざの違和感は薄れ、今では「次はもっといいプレーができる予感がある」という。

 彼女にとっては、荒波にもまれ続けた数年間だった。'05年全豪で四大大会デビューを果たし、メジャー大会の常連になった。しかし、'08年に不振に陥り、復調の兆しが見えた矢先の昨年8月、左足前十字じん帯損傷の大けがを負う。ただちに手術し、リハビリに取り組んだが、テニス選手のひざには、ただでさえ大きな負担がかかる。この春、ツアー下部大会のダブルスで試運転したものの、万全の状態にはほど遠かった。

当面の目標は「自分のテニスを取り戻すこと」。

 1年も試合から遠ざかれば、精神的にくさってもおかしくない。だが中村はリハビリ期間中も仲間の応援に大会会場を訪れ、いつもと変わらぬ笑顔を見せていた。復帰戦は「緊張でガチガチ」だったが、2戦目のHPオープンでの白星は自信を取り戻すきっかけになっただろう。

 スポーツ界には、ケガをした選手が復帰後、より大きな成功を収めた例がいくつもある。外から競技を見ることで、考え方、取り組み方が大きく変わるのだろう。中村も、全日本選手権の記者会見で、こう話している。

「前より精神的に余裕を持ってできている。今までは自分のテニスのことしか考えられなかったが、テニスを広く見られるようになった」

 ひたむきに攻撃的なショットを打ち続けることが中村の良さであり、その一途さが彼女を世界の舞台に押し上げた。ただ、強豪選手を向こうに回すと、一本調子になって空回りするきらいがあった。しかし、ブランクを経て、彼女もひと皮むけるような気がしてならない。今は、結果は二の次、「自分のテニスを取り戻すこと」が当面の目標だ。そのために「一戦一戦、一日一日を大切にしたい」と中村。ノーランキングからの再スタートにエールを送りたい。

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