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土居美咲に漂う
クルム伊達と同じ“匂い”
~今季急成長した19歳の強み~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2010/12/18 08:00

土居美咲に漂うクルム伊達と同じ“匂い”~今季急成長した19歳の強み~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 クルム伊達公子が好例だが、自分のやるべきことが分かっていて、それをそのままコートで実践できる選手は強い。今シーズン急成長した19歳、土居美咲にも伊達と同じ“匂い”がある。

「サーブとフォアハンドで攻める」と目指すテニスは明快だ。しかも、今季は大会ごとの位置づけが明確だった。テニス選手は「チャレンジする大会、勝ちにいく大会」という言い方をする。どこまでできるか分からないが、あわよくば一人でも二人でも上位選手を倒してやろう、というのが前者で、ある程度結果を期待して出場するのが後者だ。

 この春、「海外でやっていたほうが強くなる」と欧州遠征に旅立った土居は、全仏オープンで予選を突破し、四大大会に初出場した。これは「チャレンジ」の大きな成果だった。一方、11月の全日本選手権は、勝ちにいく大会だった。世界へのステップとして、ぜひともほしかったタイトルだ。土居は表彰式で「この大会は最初から優勝を狙って勝ちにきていたので、優勝できてうれしく思います」とスピーチした。優勝を公言すれば重圧がかかる。しかし、彼女にはそれを引き受ける覚悟があった。

 方向性を示したのは、おそらく原田夏希コーチ。だが、土居自身に、それを消化できるだけのポテンシャルがあったのだと思う。

国内最後の国際大会に勝ち、世界ランクも133位まで上昇。

 初めて取材したのは、彼女が16歳の頃だった。ずいぶん大人びたジュニアだな、と感じた。照れたり、相手の顔色を見るような態度を少しも見せなかった。そのクールさは、ぶっきらぼうと紙一重だった。クリッとした目の奥に潜む冷徹さ、心の強さが159センチの小柄な体を支えている。そして、もともとの資質に加え、選手としての成長過程で、試合の中でやるべきことを整理したり、遂行するスキルを磨いたのだろう。

 土居は、国内で開催される国際大会としては今季最終戦となるダンロップワールドチャレンジでも優勝し、世界ランクを自己最高の133位まで上げた。

「(球足が)速いコートなので、サーブのキープ率を上げて、グラウンドストロークでしっかり動いていけば、十分上位を狙える位置にいる」と大会に臨み、狙い通り優勝した。ここでも、彼女は、やるべきことを貫いた。

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