野ボール横丁BACK NUMBER
広島カープを斬りまくる地元紙コラム。
その健全な批判精神と「鯉愛」の極み。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph bySports Graphic Number
posted2012/09/26 12:15
9月18日付の中国新聞の朝刊、スポーツ面の「球炎」。その気骨ある筆致は、広島カープのチームカラーに通じるものがある。
広島へ行くと、条件反射的に買ってしまう新聞がある。
広島県の地方紙、中国新聞だ。
この朝刊の野球コラムというより、カープコラムが、とにかくおもしろいのだ。
9月16日付のコラムも、のっけから全開だった。
〈いまの広島打線は、早撃ちガンマンならぬ「早打ち緩慢」である〉
笑わせようとしているのか、怒っているのか、その判別はつかないが、ただならぬ決意をにじませパソコンのキーを叩いていることだけは伝わってくる。
前日の9月15日、クライマックスシリーズ進出がかかっていた4位の広島は、中日と対戦。しかし、中日の先発、川上憲伸に6回まで1安打に抑え込まれた。その後も中日の継投策にはまり、0-1で敗れる。
結果、川上にわずか56球で白星をプレゼントすることになった。
それに対しては、もう、バッサリである。
〈いくら敬老の日が近いとはいえ、球界では年長者の域に達した37歳ベテラン右腕を楽に投げさせすぎであろう〉
痛烈である。
だが、これが名物コラム「球炎」の真骨頂なのである。
いつのまにか「がんばれカープ!」という気分になっているコラム。
他紙にも辛口コラムはあるにはある。だが、それらと「球炎」を画しているのは、同コラムはどんなに厳しいことが書かれていようとも、気づくと「がんばれカープ!」という気分に支配されているところだ。
それはきっと、こんな日もあるからだ。
中日に連日となる完封負けを喫した翌日のタイトルは「今こそ悔いなき戦いを」。冒頭はこうだった。