SCORE CARDBACK NUMBER

CSで打倒巨人を狙う
中日の強さの“秘密”。
~谷繁と和田の“ベンチワーク”~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/09/28 06:00

9月16日の広島戦は見事、完封リレーで勝利。高木監督と権藤コーチは固い握手を交わした。

9月16日の広島戦は見事、完封リレーで勝利。高木監督と権藤コーチは固い握手を交わした。

 昨年のセ・リーグ覇者、中日が巨人に10ゲーム近い大差をつけられ、苦しんでいる。71歳の高木守道監督と73歳の権藤博投手コーチが、選手起用をめぐって激しいバトルを繰り広げながらも9月16日に広島を2対0で破り、6年連続のCS出場をなんとか決めた。

 この広島との3連戦のさなか、首脳陣の対立が表面化。「試合が続くから今日は中継ぎは出せませんと(投手コーチに)言われた。これじゃ勝てると思っていない」と監督が言えば、「本当の戦いはまだまだ先じゃないですか」とコーチがやり返す。こんなやりとりは自然とベンチにも届き、選手たちは気まずくなるものだが、そこは“大人の対応”ができる2人のベテランが支えている。

 1人は、「困ったときはベンちゃんやろ」と監督が頼りにする県立岐阜商の後輩・和田一浩。2割9分台の打率と、お手本となるチームバッティングで主軸としての存在感を示している。

 もう1人は、権藤コーチが「あいつに任せておけば大丈夫」と信頼する谷繁元信。横浜時代に監督と正捕手だった師弟は今季、12年ぶりに再会。権藤は、円熟の域に達した谷繁のリードを「野村(克也)さんを超えたやろ」と絶賛する。“逃げの姿勢”を見せた若手を時折怒鳴りつけながら、投手陣を牽引している。

険悪な雰囲気になりかけると「オイ、大丈夫かな!」と和ませる。

 ともに40代となった2人はベンチでも隣に座り、“シゲさん”“ベンちゃん”と呼び合う仲。ベンチが険悪な雰囲気になりかけると、「オイ、オイ、大丈夫かな!」と笑いながら言葉を交わす。このやりとりで、チームの雰囲気が和らぐのだ。“物言えば唇寒し”ではないが、何も言えなかった前政権とは違うムードが、今季の中日の武器でもある。

 大野雄大、雄太、中田賢一、山内壮馬ら若手を育て上げながら、リーグ2位の防御率を守ってきたのは、投手コーチの手腕。二桁得点がわずか1試合と苦しい中、1点差ゲームでの勝率が6割5分7厘と結果を出してきた監督。目の前の勝利にこだわる高木と、シーズンを通して選手の使い方を考える権藤には、考え方の違いこそあるものの、それぞれがきっちりと仕事をしている。個性的な首脳陣とベテランコンビが支えるこのチームが、CSで“打倒巨人”に照準を合わせてくることは間違いない。

関連コラム

ページトップ