闘える集団と、まとまりを欠く集団の試合なのだから、勝負は初めから決していたのかもしれない。
殊勲のバロテッリの2ゴールについて、試合後にイタリア代表のバルザーリは語っている。
「バロテッリは良くやったよ。しかし、これはチームの勝利なんだ。チームの努力があるから、彼が素晴らしい選手だと証明することが出来たんだからね」
チームとしてのまとまりがあったイタリア代表に比べ、ドイツ代表には何があったのだろうか。
確かに、試合前にドイツ国内では悲観的な声も挙がっていた。ドイツはイタリアとの相性があまりに悪いからだ。W杯とEUROのビッグトーナメントに限れば、7回対戦して4分3敗で、一度も勝ったことがない。最後に公式戦で顔を合わせたのは2006年のドイツW杯なのだが、それまでドイツ代表が無敗を誇っていたドルトムントで行なわれた試合で、延長戦の末に0-2でイタリア代表に敗れている。
それでも6月22日の準々決勝では、グループリーグの手堅い戦いが嘘だったかのように華麗な攻撃を見せ、ギリシャを4-2で一蹴していた。あの試合に光明を見出せるのではないか……と思っていたが、逆に、そこに落とし穴があった。
ギリシャ戦の大勝で、完全に策に溺れてしまったレーブ監督。
ギリシャ戦で、前の試合から4人の選手を入れ替えるという大胆な策を打ち、今大会中でベストとも言えるパフォーマンスをチームが見せたため、試合直後にはレーブ監督へドイツ中から称賛の声が寄せられていた。
例えば、高級紙の『ヴェルト』はこんな風に形容した。
「監督こそ、スターだ!」
その後、同紙の単独インタビューに応じたレーブ監督は、気になる発言をしている。
「私は(結果を残しているメンバーを代える)リスクを冒すことをいとわないよ。(イタリア戦のプランを知ったら)あなた方はきっと驚くことになるだろう」
レーブは、自らの策に溺れてしまっていた。
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