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甲子園にまでグローバリズムの波が。
「頭脳的プレー」は「汚いプレー」? 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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posted2011/08/10 18:30

甲子園にまでグローバリズムの波が。「頭脳的プレー」は「汚いプレー」?<Number Web> photograph by KYODO

8月6日の開会式。「がんばろう! 日本」の横断幕を先頭に一斉行進する選手たち。高校野球の原点はフェアプレー精神と言われるが、球児たちには今後、“世界基準のフェアプレー精神”が求められていくのかもしれない

ジャッジが厳しくなったきっかけは3年前の北京五輪。

 いずれも、確かに、やむをえない動きに見える。ひと昔前までなら、見逃されていたはずだ。

 だが、現在のジャッジの流れは、意図的であるかないかは問題ではない。理由はどうあれ、捕手の送球を邪魔してはいけないのだ。

 こうした傾向にある監督がぼやく。

「ヒットエンドランのときは勘弁して欲しいよね。外のスライダーだったら、空振りしたとき、どうしても前にいっちゃうじゃない。それでも妨害とられるんだろうね」

 おそらく、そうなる。

 アマチュア球界を中心に、ジャッジがこれだけ厳格になってきた背景には、2008年の北京五輪における日本代表のプレーがある。

北京五輪で「島国の野球は嘘をつくのか」と言われた日本人審判。

 アマチュア審判を経て、プロ審判になった人の話だ。

「オリンピックのとき、向こうの審判に『島国の野球は嘘をつくのか』ってずいぶん叩かれた。ファウルチップで、ワンバンしてるのに、ダイレクトで捕ったってアピールする。デッドボールでも、当たってないのに当たったって言う。日本の審判は大変だな、って。

 日本人はふた言目には『ルールブックに禁止とは書いてない』って言うけど、ルールブックはプレーヤーのフェアプレー精神を信頼して、必要最低限のことしか書いてないわけです。だから、基本的には、こんなことをしたらおもしろくないよね、っていうことはやってはいけない。

 ボークがなぜいけないかというと、走者の盗塁するチャンスを奪ってしまうからです。そんなことしたら、つまらないでしょ、と。世界では、盗塁するとき、必ず打者は捕手の邪魔にならないよう避ける。空振りして、よろけちゃうこともあるんだけど、それでもすぐにかがむとか、邪魔にならないよう工夫しています。メジャーの選手でもそうですよ。

 捕手と走者の1対1の勝負を、第三者が邪魔をしてはいけない。それが野球におけるフェアプレーの精神なんです。

 今のままだと、日本人は国際大会に行くたびに恥をかくことになる。だから少しずつジャッジも国際基準になっていかざるをえない。

 去年、甲子園で一、三塁から、一塁走者がわざと挟まれて、その間に三塁走者がホームをつくというプレーがあった。あれも高校野球では当たり前のトリックプレーですよね。でも、あれも国際大会にいったら汚いプレーになる。そのあたりは、向こうの審判は絶対に譲りませんからね」

【次ページ】 「頭脳的なプレー」が「汚いプレー」とされる時代。

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