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攻撃一本から万能型へ。
森田あゆみ、脱皮の兆し。
~テニスの天才少女、その後~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2011/03/22 06:00

攻撃一本から万能型へ。森田あゆみ、脱皮の兆し。~テニスの天才少女、その後~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 一歩ずつ着実に成長するというのは実は理想論だ。選手というのは、一気に階段を駆け上がったかと思えば、踊り場で少し休んで、というのを繰り返して成長していく。

 15歳で全日本選手権を制し、天才少女と呼ばれた森田あゆみも、例外ではない。

 17歳で四大大会初出場を果たした森田だが、昨年の全仏まで8大会連続1回戦負けだった。ショットの力強さは一流だが、強打が入れば勝ち、入らなければ負けというリスキーなテニス。勝つも負けるも自分次第というスケールの大きさは魅力だったが、負けが込むとそのスケールもしぼんで見えた。

 丸山淳一コーチらスタッフは軌道修正を図った。森田本人の言葉を借りれば、「無理に打たない、攻められる時だけ攻める」テニスを目指したのだ。

 昨年のウィンブルドンでは待望の初勝利を挙げたが、課題はそのままだった。攻撃一本で勝ってきた選手が万能型に脱皮しようというのだから、容易なことではない。「どういうテニスをしたいのか自分でもわからなかった」という森田は、深い霧の中をさまよっているように見えた。

「今どうしたらいいか、考えてプレーできている」

 しかし、10月の楽天オープン優勝をきっかけに、少しずつ新しいスタイルを自分のものにしていく。

 先の全豪オープンでは四大大会初の3回戦進出。その翌週の国別対抗戦フェドカップでは、エースとして日本をアジア/オセアニア地域予選突破に導いた。

 そこにいたのは昨年までの森田ではなかった。

 もちろん、無理には打たない。攻められると、スピンの効いた高い弾道のボールでうまくかわす。守備力が上がったのは、相手に振り回されても体が持ちこたえられるようになったからだ。また、常に冷静な状況判断ができている。「今どうしたらいいか、考えてプレーできている」という森田。まだまだ理想型には遠いというが、かなりの手応えがあるのだろう。

 その後のツアー大会でも勝ち星を増やし、2月21日付の世界ランキングでは48位と、自身初のトップ50入りも果たした。

「1年通して今のテニスができれば、今より上に行ける」

 半年前、方向を見失っていた彼女からは想像もできないような、確信に満ちた言葉だ。森田は、踊り場を抜け出したようだ。

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