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丸佳浩とカープ、必然の別れ。
FAは忠誠心の踏み絵ではない。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byKyodo News

posted2018/12/05 11:30

丸佳浩とカープ、必然の別れ。FAは忠誠心の踏み絵ではない。<Number Web> photograph by Kyodo News

丸は11月7日にFA権の行使を表明し、11月30日に巨人への入団を決めたと発表した。

「おらが町の英雄」という重さ。

「おらが町のヒーロー」となったことで、失ったものもある。

 あまり多くを語りたがらないが、家族への思いが強い、心やさしきパパでもある。

 いつしか幼い子どもと公園で遊ぶこともできなくなったという。公園に行くと、人だかりができ、家族だけでなく、周りにも迷惑がかかる。そうなると、遊べない。息子の「なんで帰るの?」という悲しい表情は父親となった者なら胸が苦しくなるに違いない。

 ある日、息子と公園で遊ぼうと出かけたものの、ひと気のない公園がなく、気づけば夕方になり家路に就いたこともあったという。

 家族との日常は、プロでの成功よりもときには重い。

 所属選手だけでなく、レジェンドと言われた選手たちが引退後も過ごせる町が理想郷と言える。球団はより強く、ファンが喜ぶチームづくりを。選手は個々のレベルアップだけでなく、勝利に献身的かつ効果的な働きができるよう精進する。

 そして、ファンも熱い声援を送り、球団をサポートする。この三位一体がそれぞれレベルアップし、絶妙なバランスを保つことで、地域を大いに盛り上げる「おらが町のプロ野球チーム」へとなっていくのだろう。

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丸佳浩
広島東洋カープ

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