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ロシア「不作の世代」が意地の躍進。
開催国でも手のひら返しがブームに。

posted2018/06/29 08:00

 
ロシア「不作の世代」が意地の躍進。開催国でも手のひら返しがブームに。<Number Web> photograph by Getty Images

大会前は出場国中FIFAランキング最下位など、評価は散々だった。しかし開催国ロシアの健闘ぶりに、地元も沸いている。

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篠崎直也

篠崎直也Naoya Shinozaki

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 果たして、ロシアで開催される今回のワールドカップは盛り上がるのだろうか。多くのロシアサッカー関係者が疑念を抱いていた。

 史上初となるワールドカップ開催に向けて、各都市では大会関連のバナーやサッカーをモチーフにした様々な広告が至る所で目につくようになった。

 しかし、道路の封鎖による渋滞、物価の上昇、各国サポーターの喧騒、テロの脅威など負のイメージばかりが先行し、国や自治体が必死に高揚感を煽ろうとしても、人々の間にはどこか醒めたムードが漂っていた。

 ただし、盛り上がりに欠けた最大の理由は、昨年10月の韓国戦以降勝利から遠ざかり、ワールドカップを直前に控えても全く期待できそうにないロシア代表にあった。国際的に知られたビッグネームは皆無で、国内組ばかりの選手たちの約半数は1990年代生まれ。ロシアの専門家の多くは、ソ連崩壊により政治や経済が混乱した影響で、満足な環境すら与えられずに育った「不作の世代」と指摘する。

 さらに今年に入って、主力だったCBのバシンとジキア、FWココリンが故障離脱。攻守両面で大会直前に再構築を余儀なくされる苦しい状況に陥った。

ベテランを外し、国内組を抜擢。

 3月に行なわれたブラジル、フランスとの親善試合は、いずれも3失点を喫する惨敗。その後も本大会出場を逃したオーストリアや、主力の多くを欠いた若手主体のトルコにも勝てず、「チェルチェソフでは荷が重すぎる」と指揮官の力量不足を訴える声が噴出し、最悪の状態で本大会を迎えることになってしまった。

 そのような悪い流れを打破すべく、チェルチェソフ監督は大会前のオーストリア合宿で方針転換を決断。人材難で不安定だった3バックを諦め、4-2-3-1の布陣で中盤の強度を高めた。

 選手選考でも常連だったベテランのMFグルシャコフやDFコンバロフを外し、国内リーグでコンディションの良さをアピールしていたMFゾブニン、ガジンスキ、FWジュバらを抜擢する。

【次ページ】 サウジ戦5-0で国内の空気は一変。

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