ロシアW杯PRESSBACK NUMBER

世界に君臨したドイツ時代の終わり。
前回王者はなぜ韓国に敗れたのか。

posted2018/06/28 11:50

 
世界に君臨したドイツ時代の終わり。前回王者はなぜ韓国に敗れたのか。<Number Web> photograph by Getty Images

日韓W杯以降、ドイツ大会のブラジルをのぞいて前回王者はグループリーグで敗退している。ドイツもその罠にはまってしまった。

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

PROFILE

photograph by

Getty Images

 運命のグループリーグ最終戦。

 ドイツ代表はスウェーデン戦で相手と接触して鼻を痛め、その後に患部の手術を敢行したセバスティアン・ルディが欠場。その代役にはグループリーグ第1戦のメキシコ戦で低調なプレーに終始して途中交代を強いられたサミ・ケディラが先発した。

 実はドイツは、このセントラルポジションの人材登用に苦慮していた。チームの中核を成すトニ・クロースは第2戦・スウェーデン戦の後半アディショナルタイムに値千金の決勝ゴールを決めて存在感を示したが、ケディラの調子が上がらず、第2戦で先発したルディが負傷した後に交代でピッチに立ったイルカイ・ギュンドガンも不安定な出来でバランスを崩したことがチームに暗い影を落としていた。

 苦悩の末にヨアヒム・レーブ監督が決断したのは、第1戦と同じくケディラとクロースのダブルボランチ。また攻撃陣は、同じく調子の上向かないトーマス・ミュラーに代えてレオン・ゴレツカを右MFに配備し、トップ下には背中や膝のケガを抱えていたメスト・エジルが満を持して復帰した。

ドイツ国内でも注目を浴びた先発陣。

 ドイツ国内でもこの陣容は注目されていて、ドイツ公共放送ZDFの試合直前インタビューに出演した代表チームマネジャーのオリバー・ビアホフに対して、インタビュアーがケディラとゴレツカの先発起用の意図について尋ねるシーンもあった。

 またバックライン中央は頚椎を痛めていたマッツ・フンメルスが戦線に復帰し、累積警告で出場停止のジェローム・ボアテンクに代わってニクラス・ズーレが起用された。

 ズーレは所属先のバイエルン・ミュンヘンでフンメルスとコンビを組んでいて、コンビネーションには問題がない。今大会ではボアテンクの持ち上がりに対して相手にプレッシャーを掛けられる戦略を取られていたこともあり、センターバックの陣容変更はドイツにとってむしろ好影響を及ぼすと思われた。

【次ページ】 韓国もCBを中盤で使う斬新な布陣。

1 2 3 4 NEXT
トニ・クロース
サミ・ケディラ
イルカイ・ギュンドアン
ヨアヒム・レーブ
ロシアW杯
ワールドカップ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ