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アンリが驚嘆するムバッペの素質。
「とても19歳には見えない成熟だ」
posted2018/06/14 16:30
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Mutsu Kawamori
若くしてフランス代表のエースと期待されるキャリア。
似た特徴を持つアンリとムバッペは、いつも比較される。
かつて世界の頂点に立った先輩は、後輩の姿をどう見るか。
W杯を前に、Number946号(2018年2月15日発売)の記事を全文掲載します!
フランス代表は長い間、新しいティエリ・アンリを求めていた。2000年前後、ジネディーヌ・ジダンの時代にフランス代表の前線に君臨した絶対的エース。アンリはクラブレベルでもフランス代表でも一時代を築いた、フランスが世界に誇れるフォワードだった。
しかしアンリが代表を退いてからというもの、フランス代表の前線に、彼の後を任せられるような選手は出てきていなかった。カリム・ベンゼマも、オリビエ・ジルーも、アンリの記憶が焼きついたフランス人には、どこか物足りなく映った。
しかし近年、国民が期待を抱く若きアタッカーがようやく頭角を現してきた。
アントワン・グリーズマンとキリアン・ムバッペ。
国民が今夏のロシアで最も期待をかけるコンビだ。
EUROでの準優勝に「期待は持てる」。
1998年、ジダンとアンリのいた夏に掲げたフランス代表最後のワールドカップ。20年を経て、彼らは母国を再び栄光に導けるのか――。
2年前に行なわれたEUROでのフランス代表の躍進を、アンリは今も複雑な気持ちで思い出す。「何よりも運がなかった」とアンリは振り返る。
自国開催での決勝で、フランスはポルトガルに延長戦の末に敗れた。
「ポジティブだったのは、未来に向けて希望は持てる大会だったということだ。特に攻撃面ではグリーズマンが貴重なゴールを決めてくれた。中でも大一番の準決勝ドイツ戦で決めた2点は、今も国民の記憶にしっかりと残っている。ロシアでも、チームの鍵を握るのはグリーズマンになるのは間違いないだろう」
グリーズマンは、フランス代表では4-2-3-1のトップ下としてプレーすることが多い。役割としては、アンリの時代で言えばジダンのような10番的存在になる。もうひとり、アンリが点取り屋として期待するのがムバッペだ。