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ディエゴ・オリヴェイラのお尻の話。
FC東京でゴール量産+“優良銀行”。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byGetty Images
posted2018/05/22 11:00
ブラジルと言えば技術、そしてお尻。ディエゴの力強いプレーも、体の中心が強ければこそだ。
ディエゴは超優良な“銀行”?
ちなみにポストプレーを「ボールを預ける」という日本の表現は、イタリアでも同じようだ。表現力が豊かなイタリア人は、ボールを預けられる選手を“銀行”と見なすらしい。
預けたボールを失う選手は、銀行失格。
預けたボールが元に戻ってくる選手は、元金は保証されても利子がほとんどつかないということ。
預けたボールをしっかり収め、そこからチャンスを作ってくれる、もしくはゴールまで決めてしまう選手は、利子をどっさりつけてくれる銀行として重宝される。
そう、東京にとってディエゴは、つまりは大きな利子を約束してくれるありがたい銀行なのだ。
あのプレーの数々は無意識だった。
東京を躍進させる“ディエゴ銀行”、その秘密は大きなお尻にあると考えた私は、練習を終えたディエゴを直撃した。
――あなたの特徴的なお尻について訊きに来ました。
「え? 特別なことは何もないよ。少年時代、ぼくは身体が細くて、筋肉もあまりなかったんだ。練習を積むにつれて全体的に筋肉の量が増えたけれど、お尻を特別にトレーニングしたことはないんだよ」
――でも、あなたの力強いプレーは強靭なお尻から生まれているのでは?
「敵のセンターバックと競り合うときは、予測して構えるんだ。お尻を使うときもあるけど、手を使うこともある。ケースバイケースなんだよね」
残念ながら、私の見立てはディエゴのツボに入らなかった。
お尻を使ったプレーは無意識の産物。だれかに教わったのではなく、幼いころから遊びの中で自然と身につけたものなのだろう。いちいち言葉で説明するようなものではないのだ。
好調東京の真ん中で、ディエゴのブンブンが躍動している。