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柴崎岳、独占ロングインタビュー。
「スペインで磨いたものを代表で」

posted2018/03/19 08:00

 
柴崎岳、独占ロングインタビュー。「スペインで磨いたものを代表で」<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

アギーレ前監督の頃から次代のプレーメーカーとして期待された柴崎。スペインで花開きつつある力を見せてほしい。

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph by

Daisuke Nakashima

レアルから2得点の名刺をひっさげ、スペインに渡って1年が経った。
体調不良、昇格争い、移籍、代表復帰、バルサ戦のゴール、そして負傷離脱。
「キャリアで最も濃い1年」を本人が振り返る。日本代表3月シリーズに招集の柴崎。
Number947号(2018年3月1日発売)より、特別に掲載します!

 柴崎岳の目の前に、かつてテレビで目にした選手たちがいた。

 2月のカンプノウ。メッシが、なんとか1点を奪おうとドリブルを仕掛けてくる。スアレスはいつものようにファウルぎりぎりの攻防をくり返している。

 柴崎は走った。ブスケッツに激しくぶつかり、デンベレのドリブルを倒れこみながらクリアした。飛び出したテア・シュテゲンの頭上を狙ったロングシュートは枠を外れ、空を見あげて悔しがった。

プロ2年目、カンプノウの3階席で。

 ピッチに立った時、数年前のことを思い出した。

 プロ2年目。カンプノウの3階席から試合を見たことがあった。その頃に抱いていた、いつかスペインでプレーするという夢はやがて叶い、カンプノウは日常の一光景になった。柴崎は当時を思い起こす。

「やっぱり感覚が変わった部分はあります。強豪クラブも選手も、近い存在というか、日々の中で対戦している感覚がある。彼らのような選手たちは日本だとテレビ越しの存在でしかないし、対戦するようなことは基本的にはありえない。この経験を積めるのは価値があることだと思います」

 試合は0-0で終わった。監督もチームメイトも大喜びで、ロッカールームは大変な騒ぎになった。しかし柴崎の表情はすぐれなかった。引き分けで喜びたくないという思いが、胸から消えなかった。

 スペインに来て1年が経った。キャリアの中で一番濃い1年だった、と彼は言う。

 簡単な道のりではなかった。1年前に日本を発ち、バルセロナで移籍の動向を見守った。行き先は2部のテネリフェになった。

【次ページ】 移籍直後は「神経質になっていた」。

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