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「こうやって代表選手は変わるんだ……」
浅野拓磨が代表で感じた、ある変化。
posted2017/11/07 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takuya Sugiyama
「これまでとスタジアムの雰囲気が全く違うんです」
10月10日に開催されたキリンチャレンジカップ第2戦の日本vs.ハイチ戦後、浅野拓磨はミックスゾーンで自分の中に起こった「ある変化」について語っていた。
「ようやく日本代表選手として認められたと言うか、自分に対する周りの目がより厳しくなってきた。改めて、いつまでも『新米』じゃいけないと痛感しました」
潮目が変わったのが、8月31日のロシアワールドカップアジア最終予選のホーム・オーストラリア戦だった。
勝てばW杯出場が決まるこの重要な一戦で右サイドハーフとして先発出場をした浅野は、41分に日本をW杯に導く値千金の決勝弾を叩き込んだ。
一夜にしてヒーローとなった彼は、この瞬間に日本代表における「新参者」ではなくなったようだ。ロシアW杯に向けて、“世界水準モード”に切り替えていこうとするハリルジャパンにおいて、浅野は「世界を相手に点を獲ってもらわないと困る存在」へと一段階段を上ったのだ。
それを肌で感じたのが、アジア最終予選が終了し、世界に向けてのリスタートとなったキリンチャレンジカップの2試合だった。
ピッチ上で感じた、観客席のある変化。
第1戦のニュージーランド戦は78分に交代出場し、ハイチ戦ではスタメン出場をするも、前半のみの出場。2試合を通じてゴールを決められず、期待通りの活躍とは言えぬまま終わった。
「プレーしていて、『俺は若くて、スピードが自慢で、1つ良いプレーをしたら騒がれる……という時期はもう終わったんだな』と感じました。周りからの要求も変わってきたし、自分のプレーで観客が沸くというより、自分がまずいプレーをするとため息やブーイングに変わる」
浅野は自身に対する観客席の変化を、ピッチ上で敏感に感じとっていた。
だが、同時にそれは歓迎すべきことであることも理解していた。