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ACL決勝をもぎとった梅崎司の献身。
スーパーサブにベテランがいる強さ。
posted2017/10/19 17:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
「昨年のチャンピオンシップの経験があったので、今、僕らが危険な状況にいることは理解していた。有利な状況ほど危険。追われていると固くなったりするので。だから、みんなで『とにかく今日は勝ちにいく』というのを口うるさく言い合っていた。わかっていても、何度も言い合った」
西川周作が、ACL上海上港戦をそう振り返る。そしてワンボランチとして安定感を見せ、急成長を感じさせる青木拓矢が自信を漂わせながら語る。
「コンパクトな陣形を保ち、相手ひとりに対して2人、3人と行けたことが大きい。相手が目の前にいれば、大きなピンチにはならないと考えていた。早い時間帯で得点が入ったこともあって、選手間の考えが統一できた。もう少しつなげる場面もあったから、そういうところを改善したいし、つなげなくても得点チャンスがあったので、そういうところをきちんと決めきれればよかった」
ACL準決勝、浦和対上海。1-1で終えたファーストレグに続く、セカンドレグ。11分のコーナーキックからラファエル・シルバが先制点をマークし、上海の猛攻を跳ね返して、1-0で浦和は決勝進出を決めた。
梅崎「今、チーム内の選手間競争が高まっている」
「うちらは引いて守って結果が出たことがそれほどないから」と西川が言うように、激しいプレッシングでフッキをはじめとした敵にビッグチャンスを作らせなかった。そして押し込まれたかのように見えても、「2点目を取りに行く」という姿勢を貫く浦和は、幾度となく惜しいゴールチャンスを作っていた。
90分間歌い続けるサポーターの声が響くスタジアムで、はつらつとプレーする浦和イレブン。昨季のチャンピオンシップ、年間勝ち点1位の優位な状況で鹿島を迎えた試合で敗れた。そこで失った何かを、取り戻せたのだろうか? 梅崎司が言う。
「攻撃的な姿勢で戦えたのは、チームの成長だと思います。今、チーム内での選手間競争が高まっているので、『やってやろう』という気持ちが選手それぞれにあって、それがチームにいい雰囲気や力をもたらしていると思います。もちろん、僕もそのひとりです」