eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
鳥栖戦の前にサッカーゲーム大会?
クラブ社長が語ったeスポーツ戦略。
posted2017/10/15 07:00
text by
八木葱Negi Yagi
photograph by
Negi Yagi
ファミリーコンピュータが発売された1983年以降に少年期を過ごした日本人の多くにとって、娯楽の王様はゲームだった。
そして娯楽であると同時に、ゲームは新しい世界への興味のきっかけでもあったのではないだろうか。
筆者の話をすると、野球を覚えたのは『パワプロ』、サッカーは『ウイイレ』と『FIFA』、競馬を覚えたのは『ダビスタ』だし、スポーツ以外でも、日本の各地方の名産品は『桃鉄』で覚えたし、戦国武将の名前をすらすら言えるのは『信長の野望』のおかげだ。
2000年前後に日本で起こったヨーロッパサッカーの大ブームも、三浦知良や中田英寿の活躍と同じくらい、サッカーゲームの存在に支えられていた。
なぜこんな話をしているかというと、J1のチームの中からそのゲームの力、そしてリアルスポーツとの相性の良さを活かそうとするクラブが現れたからである。
それは、サガン鳥栖。スポンサーがCygamesということもあってゲームとの親和性もあるクラブだが、実際のホームでのサッカーの試合直前にサッカーゲームの大会をしようというのは、ありそうでなかった発想だ。
「愛着を持ってもらうための入り口になるはず」
『FIFA18』を使った大会を企画した鳥栖の竹原稔社長は、その狙いをこう語る。
「サッカーは野球のように毎日試合があるわけじゃないから、サポーターとチームの接点がどうしても短いという問題があります。でもゲーム、eスポーツなら毎日プレーできて、そのゲームの中にサガン鳥栖が実名で登場している。となればクラブに接する時間は増えるし、愛着を持ってもらうための入り口になるはずなんです。ゲームを好きな人がクラブに興味を持ってくれるのも、元々のサポーターがゲームでより長い時間クラブに触れてくれるのも、どちらの動きも起こってほしいと思っています。私自身も大学生の息子がいるんですが、今でも一緒にゲームをしますよ。もちろん全然勝てませんけどね(笑)」