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ボルト不安説と新鋭の台頭、日本勢。
世界陸上100mは世紀のレースに!
posted2017/08/04 06:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kyodo News
Unbeatable. 打ち負かせない。
Unstoppable. 止められない。
陸上の世界選手権を前にして、火曜日にロンドン市内で行われた会見で、ウサイン・ボルトは自分のことをそう表現した。
そして、今回のロンドンでのテーマは、この言葉だ。
Forever Fastest.
永遠に、最速。
2008年の北京オリンピックの100m、200mで衝撃的な走りを見せてから、早9年。ロンドン、リオデジャネイロ両オリンピックでも期待に違わぬ走りを見せ、2年ごとの世界選手権でもメダルをさらっていったボルト(2011年、大邱大会の100mでのフライングによる失格には驚いたが)。
すでに“レジェンド”の域に到達しているが、今回の世界選手権の100mで優勝すれば、伝説は見事な完結を見ることになる。
今季ベストの「9秒95」はランキング7位でしかない。
ただし今回は、これまでとは様相が違う。個人競技では彼にとって最も得意な200mには出場せず、100m一本に絞って出場する。
100mはリスクをはらむ種目だ。大邱大会でのようなフライングもあるし、スタートに失敗すれば勝つチャンスは失われていく。
しかも、欧米のメディアの間では「不安説」が流布されている。今季のボルトの100mでのベストタイムは9秒95で、ランキングの7位でしかない。ボルトより速い顔ぶれはというと、以下の通りだ。
1位 コールマン(アメリカ) 9秒82
2位 ブレイク(ジャマイカ) 9秒90
3位 シンビネ(南アフリカ) 9秒92
4位 バレル(アメリカ) 9秒93
4位 ベルチャー(アメリカ) 9秒93
6位 バン・ニーケルク(南アフリカ)9秒94
7位 ロト(南アフリカ) 9秒95
7位 ガトリン(アメリカ) 9秒95
7位 ボルト(ジャマイカ) 9秒95