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日本には、“省エネ”バレーが必要だ。
中田監督が新鍋理沙に託した役割。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2017/07/21 11:00
代表復帰を果たした新鍋。信頼関係の厚い中田監督のもとで各国相手に戦える今を楽しんでいるようだ。
新鍋も中田監督も、お互いのことを熟知している。
新鍋は、久光製薬で6年間共に過ごした中田監督に絶大の信頼を寄せる。
「久美さんは選手のことを一番に考えてくださって、選手同士でも気づかないようなちょっとした変化にも気づいてくださる。すごく助けてもらいましたし、バレーに対する考え方や追求のしかたも『今のままじゃいけない』と思わせてくれた。久美さんが来られたから今の自分がいる。そういう監督のもとでプレーできるのは幸せです」
中田監督にとっても、自身のやりたいバレーを熟知している新鍋の存在は大きい。特に、1本目のレセプションやディグ(スパイクレシーブ)についての、高く上げすぎず一定の高さで返し、なおかつセッターやスパイカーが準備できる間を作るという難しい要求を、長い時間をかけて身につけてきた新鍋には、他の選手たちの見本になってほしいところだろう。
ブラジル戦では高い返球率、スパイクで持ち味発揮。
今年最初の国際大会であるワールドグランプリ、第1週のオランダ大会では、新鍋は途中からコートに入ってレセプションを立て直す役割を果たし、第2週の仙台大会では3連戦に先発出場した。
「自分の役割はまずディフェンス。1本でも多く、セッターがトスを上げやすいパスを返せるようにしたい」と語っていたが、初戦のタイ戦では守備だけでなく、チーム最多の20得点を挙げる活躍でセットカウント3-1の勝利に貢献した。2戦目のセルビア戦ではレセプションを崩されて交代となったが、3戦目のブラジル戦で再び高い返球率を残した。
ブラジル戦では、初先発のセッター佐藤美弥のトスがアンテナまで伸びていたことで、外側のブロックの手に当ててブロックアウトを奪うという新鍋らしいスパイクも見られた。