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東京マラソン、超ハイペースの理由。
設楽悠太は日本一より世界一を狙う。
posted2017/02/27 17:10
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Kyodo News
「挑戦というより、勝負にいきました。走るからには後ろのペースメーカーにつくのではなく、自分の走りがしたかった。守りの走りはしたくなかったので」
2月26日に開催された東京マラソン。全体11位、日本人3位という結果で初マラソンを終えた設楽悠太(25歳/Honda)は、いつものように飄々と、少しだけ悔しそうな表情で答えた。
「予定のペースメーカーが居なくなってしまって、1人で走る時間が長くなってしまった。後半日本人2人に抜かれたのは……やっぱり、悔しいですね」
東京マラソンは今年からコースが変更され、世界でも屈指の高速コースとなった。昨年までは後半にアップダウンが続き、海風の影響も大きかったが、今年はスタートからの下り坂後、ゴールの東京駅前までほぼ平坦。その狙い通り、優勝したウィルソン・キプサング(ケニア)は日本国内最高記録を1分以上更新する2時間3分58秒でゴールテープを切った。
「気候面など条件があえば世界記録が出ても全くおかしくないと思う」
そうキプサングが語っていたように、アフリカ勢が世界記録をうかがうハイペースで走る中、スタートからただ1人、終盤までその背中を追ったのが設楽だった。
中間点までは日本記録はおろか、世界記録すら視界に入るような、驚異的なスピードで世界を追いかけていった。
38km過ぎには井上大仁にもかわされたが……。
「日本人選手が追って来なかったのは、特に意識しませんでした。とにかく、自分のリズムで行って、攻めの走りをしようと。中間点までは余裕があったんですが、35kmからは“鬼キツ”でした。脚も体も思うように動かなくなってしまって」
本人もこう振り返るように、前半のハイペースの影響は大きく30km付近からは失速。38km過ぎに日本人1位に入った井上大仁(24歳/MHPS)にもかわされ、目標としていた2時間8分台にも届かなかった。