沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
キタサンが流れを作りサトノが追う。
有馬記念の直線は真っ向叩き合いか。
posted2016/12/24 09:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
年度代表馬決定戦であり、現役最強馬決定戦でもある1年の総決算、第61回有馬記念(12月25日、中山芝2500m、3歳以上GI)のスタートが近づいてきた。
主役はやはり、今年の天皇賞・春とジャパンカップを制したキタサンブラック(牡4歳、父ブラックタイド、栗東・清水久詞厩舎)だろう。前走のジャパンカップでは武豊ならではの絶妙なイーブンラップで逃げ、ゴール前でこれまで見られなかった鋭い脚を繰り出し、2着を2馬身半突き放した。
「何がよかったとかではなく、普通に強かった」という武の言葉が、相棒の絶対的な強さへの信頼を表している。それはつまり、展開に味方されたから勝ったわけではなく、どんな流れになっても、何番手からの競馬になっても勝っていた、ということを意味している。
今回は、逃げ宣言をしているマルターズアポジーのほか、サムソンズプライドもハナを主張するかもしれないが、好位に控えても問題ないことは実証済みだ。
今のキタサンブラックは、去年のこのレースで3着になったころより明らかに強くなっており、数段上のステージにいる。これまで武の手綱で有馬記念を勝ったオグリキャップ、ディープインパクトと、脚質も距離適性も異なるが、スター性や総合力では、着実に近づきつつある。
水曜日の枠順抽選会で、3戦連続となる勝率100パーセントの1枠1番を引き当て、さらに勝利を引き寄せた感がある。
天皇賞・春、ジャパンカップ、そして有馬記念と格の高いGIを3勝したとなれば、天皇賞・秋と香港のGIを2勝したモーリスを抑えて年度代表馬の座を確定させるだろう。
菊花賞圧勝のサトノダイヤモンドはどこまで戦えるか。
キタサンの最大の強敵と目されているのは、前走の菊花賞を圧勝したサトノダイヤモンド(牡3歳、父ディープインパクト、栗東・池江泰寿厩舎)だ。「空前のハイレベル」と言われる今年の3歳牡馬代表にふさわしい力の持ち主で、勝てば2012年ゴールドシップ以来4年ぶり18頭目の3歳馬による制覇となる。