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広島が石原慶幸の力で奪った2勝。
短期決戦の要は、捕手の「対応力」。

posted2016/10/24 16:30

 
広島が石原慶幸の力で奪った2勝。短期決戦の要は、捕手の「対応力」。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

捕手としての能力が石原慶幸は極めて高い。打率2割でも緒方監督が使いたくなる理由がそこにはあるのだ。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Naoya Sanuki

 V9巨人から、その流れを汲む黄金時代の西武などへと受け継がれた日本シリーズの戦い方に、偶数戦必勝主義という考え方がある。

 当時はまだ交流戦もなかった時代で、優勝が見えてくるとスコアラーを派遣してシリーズで対戦しそうなチームのデータを収集する。ただ、時間的な余裕もないことから当然、データのサンプル数は少なく、ある程度の傾向は読み取れるが、実際には様々な間違いが含まれていることもあった。

 そこでまず初戦は捨てて、相手を探ることに最大の重きを置く。コントロールの良い投手を先発に立て、実戦の中でデータをもう一度、洗い直すわけだ。そのデータをもとに本格的に勝負をかけるのは、第2戦となるわけだ。

 もちろんそのまま一気呵成にいければ文句はないが、1勝2敗となれば第4戦は負ければ王手をかけられる試合。また第6戦は3勝2敗なら優勝が決まり、逆に王手をかけられていれば勝てば逆王手で勢いをつけて最終決戦に臨める。

 そこでまず偶数戦に必勝を期したローテーションを組むというわけである。

 もちろん近年は交流戦でシーズン中から実戦データの収集をできる環境もあり、それほど偶数戦重視という傾向はなくなっている。ただ、交流戦から時間も経過し、それなりに相手チームの戦力も変化する。それだけに初戦で手に入れた実戦データを踏まえて、そこからどう変化できるかは、日本シリーズを制するための重要なポイントなのは今も変わりはないのである。

助っ人に対する対応力で差がついた。

 広島連勝でスタートした今年の日本シリーズ。初戦は鈴木誠也の本盗、第2戦では菊池涼介のバスター安打から田中広輔の神走塁、神スライディングと広島の機動力野球が爆発して、アドバンテージを手にした。

 ただ、その一方で広島の連勝のもう1人の立役者は、日本ハム打線を封じ込めているバッテリーで、特に目立たないが女房役の石原慶幸の実戦力、変化できる力に負うところが大きいと言えるだろう。

 その典型的な場面が、両チームの助っ人に対する対応力の差ではなかっただろうか。

【次ページ】 第1戦でレアードの能力を見極めたカープ。

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