話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
過去最高の費用と時間をかけたU-19。
小川航基は東京五輪の主役になるか。
posted2016/09/30 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
U-20W杯2017の出場権をかけて、10月13日からAFC U-19選手権バーレーンを戦うU-19日本代表のメンバーが発表された。
26日に日体大とメンバー発表前の最後の選考試合を行ったが、目立ったのは2得点を挙げた小川航基(ジュビロ磐田)と、後半途中出場で流れを変えた岩崎悠人(京都橘高)ぐらい。
堂安律(ガンバ大阪)や神谷優太(湘南ベルマーレ)らJリーグの試合に出ている選手は招集されていなかったが、彼らの不在を生かして選考に波風を立てるような選手は出てこなかった。
結局、アジア予選を戦う代表メンバーでも、チームの立ち上がりから主力である堂安、坂井大将(大分トリニータ)、三好康児(川崎フロンターレ)らが順当に入り、サプライズとなるような選手は選出されなかった。
小川航基はU-19のエースになる資質がある。
U-16日本代表が、一足先に来年のU-17W杯の出場権を獲得。エース久保建英のプレーが注目されており、結果内容ともに比較されることになるだろうが、U-19日本代表にもチームを勝利に導くエースの素質を持つ選手がいる。
FW小川航基である。
日体大との練習試合では2得点を挙げ、FWとしての存在感を示した。
ボックス内での動き、裏を取る動きにも鋭さを増し、シュートへの意識も一段と高くなった。春先は「ボックス内でタイミングよく動き出せ」と名波浩監督に口酸っぱく言われていたが、最近は「点を取ることよりもシュートの数を意識しろ」と言われるようになった。段階を踏んで監督からの要求も変わり、成長を感じられるようになった。
「最初は試合にも絡めず、ベンチにも入れずに苦しい時間がつづいたんですけど、そこで監督がどういうことを求めているかを意識するようになって、最近ベンチに入れるようになりました。ただ、ベンチからピッチに出れていないのはまだ信頼が薄いんだろうなと思います。監督の信頼を勝ち取るためにも与えられたチャンスを活かし、代表に呼ばれたらしっかりと結果を出さないといけない」
小川が言うように、ジュビロでベンチには入れるようになったが、ピッチはまだ遠い。ジェイや森島康仁に比べるとフィジカルが弱く、体が細いことは本人も自覚している。シュートの精度や守備などの課題もあり、リーグ戦はいまだ出場ゼロ。チームが残留争いの真っ只中におり、ルーキーの選手を試合に出すほど余裕がなく、リーグ戦出場が難しい状況になっている。