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プレミアで“大空翼”になった岡崎慎司。
2度目のオーバーヘッドは風邪のお陰?

posted2016/03/17 10:30

 
プレミアで“大空翼”になった岡崎慎司。2度目のオーバーヘッドは風邪のお陰?<Number Web> photograph by Yusuke Mimura

岡崎のオーバーヘッドは、ドイツの新聞一面を独占した。ピッチをボールが左右に飛び交う間もスペースを探し続けていたことが報われた形だ。

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ミムラユウスケ

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Yusuke Mimura

 日本代表に選ばれたばかりのころ、代表合宿にむかうスーツケースにマンガをぎっしり詰め込んでいた。ホテルで退屈している選手たちが、持ち込んだマンガを読みに自分のもとにやってくれば、すんなりとチームに溶け込めるだろう。岡崎慎司の頭のなかには、そんな想像が膨らんでいた。数あるマンガのなかでも、岡崎は『キャプテン翼』が大好きだった。

 もっとも、好きなキャラクターは松山君だとも話していたこともある。そんな“素直ではない”一面もある岡崎はしかし、大空翼になった。

「(ホームでの)ファーストゴールですし。ちょっと、忘れられないゴールになるんでしょうね」

 3月14日、レアル・マドリーの前監督ベニテスが指揮官に就任したばかりのニューカッスル戦で、岡崎は見事なオーバーヘッドでのボールを決めた。

「岡崎の驚異のゴール」に「岡崎の魔法」。英国メディアも、様々な言葉で形容した一撃だった。

 しかしこのゴールが決まるまで、レスターはチームとして思うような攻撃が繰り出せず、守備に追われて岡崎も普段よりも下がり気味の位置でプレーしていた。そんな展開だったからこそ、岡崎は起死回生の一発を狙っていた。

ピッチを後にする岡崎にスタンディングオベーションが。

 結局、岡崎のオーバーヘッドが決勝ゴールとなり、レスターが勝利をつかんだ。前節終了後についた2位トッテナムとの5点の勝ち点差をキープした。夢の初優勝にむけて、また一歩近づいた。もちろん監督も選手たちも、目の前の試合に集中していくだけだというスタンスを崩してはいないが。

 この試合でヒーローとなった岡崎は、後半20分にピッチを後にした。ホームのキングパワー・スタジアムにつめかけた30000人以上のファンは、スタンディングオベーションで、ファンタスティックなゴールを決めたストライカーをたたえた。

 このスタジアムで何度も命じられてきた途中交代でも、これまでのものとはずいぶん違う。今日は自分のゴールという形で貢献して、拍手を浴びることが出来る。ホームのサポーターの前で、ようやくチームのためにも結果を残せたんやなぁ。岡崎はそんなことを感じていた――。

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