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3カ月ぶりのゴールは、収穫も3つ!
香川真司はドルトの「中心」になる。
posted2016/03/15 10:50
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
今季のドルトムントの成績を考えれば、驚くべきことなのかもしれない。香川真司は、そんなチームでゴールから長らく遠ざかっていたのだ。
しかし、ついに決めた。
12月5日のヴォルフスブルク戦以来、およそ3カ月ぶりだった。マインツ戦で、クロスにあわせて右足を振り抜いて決めた。ボールがネットに跳ね返ると、香川は何か叫んでもう一度ボールを蹴り返した。チームメイトも彼の周りに集まった。しかし、どの選手にも笑顔はなかった。
この試合の前半に、ドルトムントのファンの2人が心臓発作を起こした。1人はその場で亡くなり、もう1人は病院へと搬送された。
「後半にファンの様子が明らかに違っていたので、何かあったのだろう」と感じていた香川は、試合後にこう話した。
「悲しい出来事です。勝利を捧げられたのは良かったのかもしれないけど、それ以上にファンにとっても、チームにとっても悲しい出来事だったのではないかと思います」
後半は、ハプニングに見舞われたファンを悼んだ、両チームのサポーターがほとんどの時間は応援を自粛したため、応援というサッカーの一部を構成する要素がなかったことになる。その影響かはわからないが、90分を通して激しい戦いがドルトムントとマインツの間で繰り広げられたわけではない。
バイエルン戦でのベンチ外に至る経緯は?
しかし、ファンの存在の大きさを改めて感じさせることになったという以外にも、この試合は香川にとって大きな意味を持ってくるはずだ。
まず、状況を整理しよう。
3月5日のバイエルンとのホームゲームで、香川はベンチ入りのメンバーからも外れた。
確かにシーズン後半戦に入ってからは、スタメンから外れることもしばしばあった。しかし、見落とせない事実がある。
2016年に入ってから、3月5日のバイエルン戦の前まで、香川はホームゲームでは“必ず”先発してきたということだ。