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ブンデス最下位クラブでの残留戦線。
清武弘嗣と山口蛍の試行錯誤は実るか。
posted2016/02/20 10:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
昨年末、ハノーファーへの移籍を果たした山口蛍はドイツの地で苦しんでいる。彼は何に戸惑い、どこに光明を見出しているのだろうか。
1月4日からチームに合流した山口は、1月30日のレバークーゼン戦で先発フル出場を果たした(試合には0-3の敗戦)。翌週のマインツ戦にも、右MFと3ボランチの一番右のポジションの中間のような位置で先発したが、前半35分に交代を命じられた。チームも0-1で敗れている。
マインツ戦では、あまりにも早い時間帯での交代のきっかけとなるシーンがあった。
前半33分に、左ボランチのベヒが左サイドから中央にドリブルでボールを運んでいた。ベヒの足元から大きく離れたボールに対して、サイドめがけて右足を振り抜こうとした山口とベヒが交錯。そこでボールがこぼれ、マインツのカウンターを受けてしまったシーンだ。
「真ん中でやりたい想いもある」
試合後、山口はこう振り返っていた。
「左サイドがフリーだったので、そこにワンタッチで入れたかったんです。ただ、そういうところもコミュニケーション(で改善できる問題)だと思います。難しいところではありますけど」
ニュルンベルクのGMを務めていたときに清武弘嗣や長谷部誠を獲得し、現在はハノーファーのCEOとして働くバーダー氏はこう話した。
「彼らのやる気が、間違った方向に向かってしまったということだ」
シャーフ監督も「(山口には)左サイドが見えていたんだろう」と理解を示していた。
中盤のセンターではない、右寄りのポジションを務めることについて山口はこんな風にとらえていた。
「真ん中のポジションでやりたいという想いもはあります。サイド(寄りのポジション)だと、今まで自分がやってきたサイドチェンジなども出せないので。その状況を自分としてどう捉えるべきなのか、少し迷っているような部分はあります。
でも、違うポジションで与えられたチャンスを活かせなかったのは自分の責任でもあると思いますし……」