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「嫌われてもいいけど、頼られたい」
阪神・金本監督、有言実行の“超変革”。

posted2016/01/29 10:30

 
若いと思われる金本新監督だが、実はセ・リーグ最年長でもある。サラリーマンなら中間管理職にあたる40代監督らの熱い戦いに注目したい。

若いと思われる金本新監督だが、実はセ・リーグ最年長でもある。サラリーマンなら中間管理職にあたる40代監督らの熱い戦いに注目したい。

text by

酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

PROFILE

photograph by

Nanae Suzuki

 年が明け、つい先日の話だ。大阪・北新地で飲んでいて、常連客と組織のリーダー論になった。ある会社で役員を務める50代のおっちゃんはワイングラスを傾けながら言う。「誰でも部下がいる。そいつのためを思えるかどうか。トップに立つなら求心力がないとあかんよな」。上司と部下。ベクトルを1つに束ね、個々が通じ合う集団になれるか。サラリーマンが抱えるテーマは、プロ野球界でもまた、焦点になる。

 さて、新生タイガースである。昨年の冬、阪神のコーチ人事を取材していて、新たに入団したコーチが口々に言っていた。

「金本さんから声を掛けられたら断れない」

「金本さんだったから、一緒にやろうと思った」

 いずれもアクが強い一言居士だ。そんな男たちが志をともにして、同じ道を歩もうとする。何なのだろう、この人望は……。金本知憲新監督が強烈な磁力を発し、周りの人たちは引き込まれる。機知、情熱、求心力……。新年から、新指揮官のリーダーシップに触れる場面が何度もあった。

新年の挨拶で発揮された金本監督のウィット。

 機転が利く人だ。

 1月5日、甲子園クラブハウスの一室で年賀式が行われた。豪華なおせち料理や舟盛りに舌鼓を打ち、球団首脳や職員、メーカー関係者やマスコミ関係者が新年のあいさつを交わす。例年よりも訪問客は多く、廊下にもあふれかえっていた。一瞬、空気がピタリと止まる。金本監督の登場だ。全員の前に立つと、初々しい表情で切り出した。

「あいさつすることを5分前に聞きまして、何も考えてなかった。何をしゃべっていいのか分からない」

 だが愛想笑いもここまでだ。すぐに持ち前のユーモアを発揮した。

「今年のチームスローガンは『超変ソク』に変更です。冗談ですけど」

 そう言い切ると、室内は大爆笑に包まれた。これには、いきさつがあった。直前のあいさつで四藤慶一郎球団社長がスローガン「超変革」を「超変ソク」と言い間違えていた。冷や汗をかいた球団社長を絶妙なジョークでフォロー。機知に富む新監督ならではの気遣いだろう。

 これほど笑いが起こった、明るい年賀式は過去の記憶にない。こんなところにも、チームが大きく変わろうとする息吹を感じる。

【次ページ】 「ベンチではナチュラルに行こうと思います」

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