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チェルシーがモウリーニョを解任。
アザールの心が折れた“ムチ”過剰。

posted2015/12/18 13:00

 
チェルシーがモウリーニョを解任。アザールの心が折れた“ムチ”過剰。<Number Web> photograph by AFLO

2度目のモウリーニョ政権は、1度目の成功を取り戻すには及ばなかった。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 12月17日、チェルシー2度目のジョゼ・モウリーニョ体制が終焉を迎えた。ホームでの大一番まで48時間というタイミングでの出来事だった。

 但しその大一番とは、残留争い回避を懸けた19位サンダーランドとの一戦。その事実が、「結果商売」の責任者が任を解かれても文句は言えない状況だったことを物語る。

 今季プレミアリーグでの成績は、開幕16戦で15ポイント獲得のみの16位。最後の采配となった14日レスター戦(1-2)は、リーグ戦で3度目の連敗となる今季9敗目でもあった。

 その間に、チームの現実目標はプレミア連覇から4位でのCL出場権獲得へと大幅に下方修正されていた。リーグ優勝の望みは早々に消滅。そしていよいよトップ4すら非現実的になったところで、2003年のオーナー就任から一貫してCL出場を最低ラインとしてきたロマン・アブラモビッチの我慢が限界に達したわけだ。

 モウリーニョ自身も覚悟していた節はある。レスター戦後の会見場で「終焉間近」と感じたのは筆者だけではないはずだ。去就を問われて「続投を望む」と答えてはいたものの、現監督としての発言は匙を投げたとさえ受け取れるものだった。

 2失点には「仕合前の準備を選手に台無しにされた気分」。敵の得点パターンとして練習で対応を徹底した4パターンのうち、2パターンでゴールを奪われたのだという。チームの復調には「ここまできたら、選手たちに自分自身を見直してもらわなければ」と、指揮官としてやるべきことはやり尽くしたと言うかのようだった。

名将たる所以こそが、不振を招いた。

 だがその点にこそ、モウリーニョはチェルシーとの2度目の決別に伴う最大の痛みを覚えているのではないか。名将としての腕を振るうことができなかったからではなく、名将と呼ばれる所以の1つが、今季は逆に不振の一因と考えられるからだ。

 具体的に言えば、モチベーターとしての手腕だ。“スペシャル・ワン”の長所には、手元の戦力を最大限に引き出す“スペシャル・タッチ”がある。個々の選手からプラスアルファを引き出せると言ってもよい。

 フロント主導の補強が不十分だった今季には、以前にも増してチームの戦闘意欲を駆り立てる必要があった。その一環として用いられてきた手法は、いわゆる「アメとムチ」。今季はムチを打ちすぎた感が否めない。

【次ページ】 アザールとは師弟の絆を感じさせていたが……。

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